約 2,471,764 件
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/244.html
http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1286349444/625-635 俺と妹の近親相姦は文学4:俺と妹の蜜室 おかしいなぁ…どうしちゃったのかな 愛し合っているのわかるけど、実妹じゃ結婚できないんだよ エロゲのことだけ言うこと聞いてもらうふりで、本番まで無茶するなら エロゲ黙認の意味、ないじゃない。ちゃんと、常識の通りやろうよ ねぇ、私の言ってること 私の主張、そんなに間違ってます? 少し、土に埋まりましょうか……お兄さん がばっ 「っはぁーー、夢か……」 高坂京介は顔に浮いた汗をぬぐった。 自分にエグい得物を突きつけてなじるメルルの姿が、いつのまにかあやせに変わっていた。 メルルの抱き枕を前にして妹と情事にふけり、あやせには日頃から近親相姦を疑われていることが こんな夢を見てしまった原因かもしれない。 「どうしろってんだ……」 身体を丸めて、すやすや寝息を立てる桐乃を横目で愛でながら、京介はつぶやいた。 「ぅ……あにき」 眠り姫の口から甘ったるい寝言が漏れる。兄は妹を、ぎゅっと優しく抱き締めてあげた。 親の目を盗んだ兄妹の関係は続いていた。 人前では互いに気持ちをセーブしている反動で、深夜に互いの部屋を行き来しては 兄妹じゃなくても人様に見せられないレベルでイチャついた。 変なタイミングでキスをして相手の機嫌をそこねたら、キスで機嫌をなおすような真似が、 二人の間では横行していた。 偽装を意識しすぎた口論――そこに半分は本心が混じってしまうのが高坂兄妹クオリティ――があった日の夜には しおらしく昼のことを謝る妹の姿と、思わず口付けで慰めてしまう兄の姿があった。 そこまでがお約束の流れなので、最近では罵倒の最中に唇の感触を思い出す始末。 性的興奮を覚えるまでになったら、性癖的な意味でも末期である。 自宅で、ラフな格好でいるときほどコンドームを手放せない男子高校生、 こんなに贅沢で罪深いヤツは自分だけかもしれない。 京介はそう思うことがあった。 高坂兄妹の変化について、付き合いの深い沙織と黒猫は流石におぼろげながら勘付いている様だった。 あえて何も言わないのは「紳士協定」というヤツなのだろう。 京介は内心感謝しつつ、彼女たちとの付き合いを続けていた。 もうひとり、妹を持ち仲間である赤城浩平にもヒントを与えてしまっているはずだ。 こんな一幕があったから。 「やっぱ、俺の妹は天使だわー」 「……じゃあ俺の妹は大天使だな」 「なら、私の妹は熾天使と言わざるをえないわ」 「おわっ!?いつからいたんだ、黒猫!!」 ……黒猫にはバレているのは絶対か。 このときは後輩をハンドルネームで呼んだことに男友達が食いついたおかげで追求を受けずにすんだが、 ベルフェゴールの続編がでた日には自分たちの本当の仲が赤裸々に描かれるのではないかと、 京介は戦々恐々としていた。 ――戦々恐々とすることばかりだった。 今だって何かの間違いで母親が息子の部屋に突撃してくれば悲惨な事態になるのは確定的に明らか。 早朝には起きるようにしているからそんな事態はありえない、と常識を頼るには、 自分たちのやっていることは非常識にすぎた。 思わず妹を抱く腕にも力がこもってしまう。桐乃はむずがると、目をこすった。 「ん……おはよ、兄貴」 その微笑みに胸を締めつけられつつ、シスコンは呟いた。 「俺の部屋にも鍵がいるな……」 「?」 そんなのさっさとやっておけ、というのも尤もな意見だが、 嘘を見抜くのが得意な親父が相手では下手に言いだすと藪蛇になりかねなかった。 鍵の掛かる桐乃の部屋だけを使えばいいのだけど、後ろめたいことをしているせいか、 最近の京介は視線恐怖症気味で妹の部屋のぬいぐるみに情事を毎晩見られるのは落ち着かない。 (ま、鍵が付くまでは我慢して桐乃の部屋で寝かせてもらうか) それぞれ自分の部屋で寝るという考えは彼の脳裏に存在しない。 イルカでもないかぎり、右脳と左脳は別々に眠らないものだ。 桐乃と打ち合わせた京介は夕食の席でそろそろと切り出した。 「あのさ……俺の部屋にも鍵がほしいんだけど」 両親の顔は(もっともだけど、めんどくせー)と語っていた。 「ほら、最近は桐乃も友達を連れてきたりして、人の出入りが激しいじゃん? 間違って着替えを見せたりしちゃうかもしれないしさ――」 「アンタの友達が来ているときに鍵を使われる方が、私は心配だけど~?」 友達にアクセントを置いて母が冷やかした。 妹は黙々とカレーを口に運びながら机の下で思いっきり足を踏みつけてくる。 眉の動きを精神力で制御している兄に、父は重ねて言う。 「突然ドアを開けられても、恥ずかしくない生活をしろ」 京介は天井をあおいだ。素敵に理不尽である。 留学中の桐乃だって2人部屋で暮らしていたのだから、と言われると一理は認めざるをえないが。 助け船は――両親にとっては――意外なところから出た。 「いいんじゃない。鍵を付けてあげても」 上から目線で妹様がつぶやいたのだ。 「兄貴も年頃だしさー。あたしがドアを開けたときに、その、変なコトしてたら……困るじゃん」 「それは、ノックしろ!!」 打ち合わせ通りの言い草なのに、京介は心の底から突っ込んでしまった。 驚いた桐乃はアクシデントに弱いせいもあって、必要以上にもじもじしている。 そんな二人を見て、母は何かを悟ったように声を挙げる。 「アンタ達、まさか……!」 『!?』 「既にそういう事があったのね!?」 「ちげーよ!」 そう、違うのである。兄は叫び、妹はぷいっと顔をそむけた。親父の目が怖い。マジで怖い。 こうして本人のためというより妹のために、突貫工事で京介の部屋にも鍵がつくことになったのであった。 めでたしめでたし。 「はぁ~親父に一時間も説教されちまったぜ……」 妙にさばさばとした口調で愚痴りながら、京介は妹の部屋に入った。 親に叱られて当然の生活を毎日つづけているせいか、 別件とはいえ叱られたことでかえって罪悪感が和らいだ心境になっている。 同時に、また一つ嘘を重ねてしまったことは、チクチクと彼の良心を責め苛んでいたけれど……。 そんな兄が鍵を掛けて視線を室内に向けると、ベッドの上でえろかわいい部屋着を乱し、 手を股間に持っていっている妹と目が合った。 「え……?」 「……ッ!!?」 京介は混乱しつつも、あわてて目を逸らす。 互いの性器をドアップで見合った仲だから、もはや見られて恥ずかしいことなどあるまい。 そんな考えが勘違いだったことを彼は知った。 「……ノックしてよ」 「すまん!」 散々ノックしろと繰り返してきた自分が、逆にノックを忘れてしまうとは…… 京介は恥じ入りつつも言い訳がましく思う。 「こういう時くらいは、鍵を使えばいいじゃねーか……」 妹は兄が男として部屋に来るのを拒まない意思表示として、部屋に鍵を掛けないと一方的に約束していた。 しかし、これはいくらなんでも律義すぎた。 「それは!……その」 京介が横目でみると桐乃は真っ赤になって俯いていた。 着衣は乱れたままで、健康的な白いブラジャーが目に眩しい。 「ぁにきが、来るかもって……想像して、してたの……」 消え入りそうな言葉に、京介は耳を疑った。 しかし、どんなに小さくても妹が発する「あにき」の三音を自分が聴き逃すわけがない。 (マジか……) 妄想していた通りに兄が来てしまう巡り合わせの悪さ(良さ?)が実に桐乃らしかった。 それとも、見つかるくらい毎日していたのか。そして、見つかったらどうなることを―― 京介はそこで妄想を打ち切って、変な空気を打破することにした。 ベッドに乗り込み、改心の笑顔をつくって妹に語りかける。嘘から出た誠メッタ刺しとはこのことか。 「桐乃、俺のも見せてやろうか?」 「…………キモ」 口では貶しつつも桐乃は京介がパンツを脱ぐのを止めなかった。 ただただ熱い視線を彼の股間にそそいでいる。 手を要所を隠すのに使っていなければ、顔を覆って指の隙間からしっかり見ていた。そんな様子だ。 兄は兄で理想のオカズが目の前にあることに気付き、リヴァイアサンを猛らせていた。 取りだしたるそれをまずは二度、シュッシュとしごいてみせる。 「……っ!」 妹の目に瞬間的にあらわれた嫌悪に、京介の興奮はもっとも煮えた。 一世一代の物凄いオナニーを見せてやろうと、亀頭が踊るように激しく手を上下させる。 「すごっ……」 それを見た桐乃は、胸と股間を隠す手に、知らず知らずのうちに力を込めていた。 「んくっ」 上気したマル顔が、皿をつつかれたプリンのように震えて見える。 (うおお!あの頬っぺたに押しつけてえ!!) 京介はそう望み、実際にその感触を味わっていることを思い出す。 妹の各所にも視線を走らすたびに、恐ろしい勢いで快感が蘇ってきた。 いつもより距離を取ったことで、桐乃の全身を一望できる。それゆえの愉しみだった。 そして、見た中にはまだ知らない場所、知ってはいけない場所があって―― 京介は狂おしく肉棒をしごいた。 そのころには桐乃も淫靡な雰囲気に呑まれていた。 振り子のように動く先端ばかり凝視していたものだから、軽い催眠状態に陥ったのかもしれない。 隠すのに使っていたはずの手を、そのまま自分を慰めるのに用いてしまう。 「ふぁ……っ」 浮遊感を口から漏らして、兄の来室で中断していた行為に没頭していく。 その姿が京介を興奮させ、興奮した京介の動作が、今度は桐乃を興奮させる。 合わせ鏡の恐るべき連鎖反応によって、粘液が奏でるエロティックなカノンが、 たちまちのうちに少女趣味的な部屋を満たした。 ふたりの耳の中で血液が脈打つ音が轟く。 「ハァ……ハァ。兄貴、ここイイっ。イイ――!」 ぐちゅぐちゅと淫らな音を立て桐乃は、第一関節を曲げた指をパンツの隙間から、 スリットに差し入れていた。 「!……うぉっ、桐乃ぉ!!桐乃っ!!」 妹の痴態を前に京介の目は釘付けになってしまう。 視覚と聴覚から得た情報を触覚に変換しようと、脳のエロゲ野がフル稼働する。 事情は桐乃も似たようなもので――もっと発達したそれを持っている分、タチが悪かった。 兄妹は非常に良く訓練されたオタクが二次元にダイブするように、 目前の立体を意識の中で自分自身に組み込んでみせる! 「あああっ来る!来ちゃうぅ!!」 親が起きている時間だからというよりは、いつもの癖で桐乃は絞った悲鳴をあげた。 「ぐっ、俺も゛っ!」 遅れじと兄も射精感をトップギアにぶち込む。 膝歩きで間合いを詰め、一足先にエクスタシーを迎えた妹の腹部に―― 「うは、ぁああっ、熱ぃい……」 桐乃は今宵はじめて兄の実体を感じて、うっとりと呻く。 二度目の絶頂が余震のように彼女の身体を駆け巡った。 もっと激しい揺れはこれから訪れるのだから、二つとも予震と捉えた方がいいのかもしれない。 京介が快感の余波と挿入の欲望に狂った罪悪感にさいなまれている間に、 桐乃はお腹に掛かった精液を指ですくい取り、黙々と口に運んでいった。 「……お前、俺の飲むの好きだな」 ちょっと呆れた感じで言われて、妹は気分を害した。 「――ふんっ」 睨まれた兄は大急ぎで頬を膨らます頭を撫でてやった。 「変なティッシュを残すわけにもいかないんもんな。助かるぜ」 むすっと首を縦に振りながら彼女は精液をこくりと呑み込んだ。 ここで兄は話題を変えて、セクハラを続けることにした。優しく問いかける。 「ところで、桐乃が想像した俺は……オナニーしているお前を見つけた後、どうしたんだ?」 ザーメン気管支入った。 撫でる場所が頭から背中に移動する。その手になだめられて機嫌を持ちなおしたらしい。 「そりゃあ……」 妹は真っ赤になりながら、言葉を選ぶ。 「……ルパンダイブじゃん?」 「ルパ……」 想定外の単語がでてきて京介は混乱した。様々な考えが浮かんできて最後に収斂したセリフは、 「桐乃お前……レイプ願望あるだろ」 ザーメン肺胞犯した。 見ている兄さえ余裕を無くすほど悶絶する。それでも、彼女はあまり声を出さなかった。 京介はティッシュを取ってようやっと落ち着いた妹の鼻をちーんさせてやる。 「大丈夫か?」 「ん……」 2枚目のティッシュで涙を拭わせて、桐乃は頷いた。ポツリと零す。 「あたしが想像するの――兄貴だけだし」 今度は京介が顔から火を吹く番だった。 「あああ、当たり前だっ!!」 常軌を逸したアタリマエに桐乃は笑ってしまう。 思わぬところで主導権が転がり込んできたのを幸い、照れ顔で反撃に出た。 「うん。普通、妹って兄でオナニーするものだからね?」 非常識がこの密室にかぎっては常識。狂気の波状攻撃に京介は頭をかきむしる。 「ああもう!お前みたいな妹を持って俺は!……とんだ幸せ者だ!!」 ルパンダイブ そのダイブは瞬間的に脱ぐのではなく、装着しているところが本家とは違っていた。 押し倒された桐乃は不安と期待の入り混じった目で、兄の顔を見上げる。 その顔に一度しっかりとキスをして身を起こすと、京介は妹に下をみるようにうながした。 「……ッ」 純潔に突きつけられた凶器に目を見開き、息を震わせる桐乃。 京介自身はその恥丘にむけて、ゆっくりと胴体着陸を―― 『つあッ!!!』 接触の瞬間、二人の間に甘いパルスが通電し、兄妹はそろって歓喜の悲鳴をあげた。 それから京介は禁断のタッチアンドゴーを何度か繰り返す。 「ああっ、あああああンッ!」 肉柱が全長を使って、滑水面を何度も擦っていく。 ついには先端が肉芽を押しつぶし、 「きゃふッ!?」 反応の良さに手ごたえを覚えた京介は、そこに集中攻撃をはじめた。 「やっ、だめ……そこばっか、ぐりぐり……しちゃっ!らめ!!」 非弾性衝突が起こるたびに桐乃は悩ましげな表情と声を披露して、兄を愉しませた。 妹の美貌はどんな角度からどんな表情で何度見ても飽きない。 感覚的には接触と同じ回数だけ射精しているはずなのに、まだ勃起が維持されていることが彼には不思議だった。 妹も似た感覚で――こちらは実際に何度かイっていた――声がどんどん大きく高くなっていく。 流石にマズいと判断した兄は、妹の身体に再度覆いかぶさり、自らの口で嬌声の出口を塞いだ。 その体勢のまま、ピンポイント攻撃を放棄して、乱雑に腰を振りはじめる。 「ん゛っ!ぐ……う゛ッ!!」 反射的に生じた悲鳴も動きも京介はすべて身体の下に封じ込めた。 愛する女性を屈服させている実感に彼は雄たけびをあげそうになる。 それすら二人の間に圧縮して、性器同士の摩擦熱に変換していった。 桐乃は半分パニックに囚われ、我が身を組み敷く兄の身体という現実だけにすがった。 すがることで、溺れていた。必死になって京介の腰に華奢な腕をまわす。 そして、いまにも事故が起こって最後の一線を超えてしまいそうな状況が兄妹の興奮に拍車をかけた。 ペニスがクリストスを軸に円を描くように動き、最大の圧力を中心にかけた瞬間、 二人は上の口で繋がり合って果てた。 けだるくベッドに身体を投げ出し、横に抱きあう余韻の時間。 しばらくして彼女は囁いた。 「どうして……?」 それだけで、挿入しなかったワケを尋ねられていることを、彼は理解した。 頭をガシガシしたくなるが、それもだるい。感覚的なものを一度に説明できる言葉を探した。 「なんというか……けじめみたいなもんだな」 「けじめ……」 神託を受ける巫女のように真剣なまなざしで桐乃は繰り返した。 「やっぱり家にいる間はできねえよ……」 「…………じゃ、じゃあ、またラブホ行く?」 「そうじゃなくて……行くけど……自立もできない内か―― 突如! ドアをノックする音が室内に響いた!! 兄妹は探信音を浴びたUボートクルーのように目を白黒させ、あわてふためく。 「桐乃ー。京介知らない?コンビニまでおつかい頼みたいんだけど~(ガチャ)あら?鍵が掛かっているわ」 (うわー!うわー!うわー!) (う…うろたえるんじゃあないッ!クンカーはうろたえないッ) どたた、ばさばさ、ぎしぎしあんあん 内部でひととおりの擬音が立った後に、妹部屋のドアは開かれた。 顔に汗を張りつかせながら桐乃が応対する。 「し、知らないにょ?」 「そぉ?」 いぶかしげに小首をかしげた母は視界の端に、極彩色に染まったバベルの塔を発見してしまった。 硬直した母に、娘は追って聞く。 「あ、あたしが行ってこよっか?」 「い、いや、いいわ……アンタは勉強大変だろうし」 むしろ母の方が会話を切りあげたがっていた。 訓練された主婦として、息子の現場をおさえたなら、ひそみ笑いのひとつもできるのだが、 優秀な娘のゴッドハンドさえ召喚しかねない暗黒行為に遭遇したと感じれば話は別だ。 「どこ行ったのかしらね、あの子――いっつも暇そうにしているのに」 あくまでもエロゲタワーには触れず、きびすを返そうとした。 しかし、妹からは逃げられない。所定の戦果をあげたのに、彼女は母を呼びとめる。 「あ、あッ!兄貴もがんばっていると思う!!」 そんなことを叫んでしまっていた。母は少し驚いたような顔をしてから、慈愛のある笑みを浮かべた。 「そうね……。買い物は私が行ってくるわ」 タンタンタンッとリズミカルにスリッパが階段を打つ音。それが小さくなって行くのを確認して桐乃はドアを閉めた。 鍵を掛け、その場にへたり込む。心臓に悪いなんてもんじゃない。いっそ一階と二階の間に鍵がほしかった。 妹は呼吸を整えてから秘密の収納スペースをこじ開ける。 「よ!親愛なる兄貴をコレクションに加えた気分はどうだ?」 「はーーっ。バカ……」 押し入れの中から緊張感なく手を挙げる兄に、力なく悪態をつく。 すぐに目を伏せたせいで彼女は、兄の手が小刻みに震えていることに気付かなかった。 肌を往復する戦慄の伝播を抑えるため、京介は無駄に大きな箱を手に取る。 まったくエロゲー様々だった。 桐乃のいかがわしい趣味を薄々知っている母親は、その気配を感じて踏み込むのを止めた。 娘たちが遥かにいかがわしく危険なことをしていたとも知らず、違和感に一人合点を与えて。 そして、兄は母が部屋に踏み込んできた場合に備え、エロゲーが収納されていた空間に タヌキ型ロボットよろしく潜んだのだ。 こんな誤魔化しが、いつまで続くことやら……。 もし母ではなく父が来襲したら、アクシデントに弱い桐乃に任せるには及ばず、 鍵を掛けて一緒にエロゲーをやっていたと開き直るしかなかっただろう。 先行きへの不安と、親をあざむく罪悪感に、京介は陰鬱な溜息を吐いた(その横顔を妹は惚れ惚れと見つめていた)。 今の生活は良心にできた塞がらない傷口から、血を垂れ流しつづけているようなものだ。 酷く消耗する。 この感覚を分かってくれるのは同じ境遇の妹だけなのではないか。 そう思って同意を求めた兄だが、意外にもかぶりを振られてしまった。 「そうか……桐乃はずっと前から家族に趣味を隠していたもんな」 寂しげな声に、妹は真剣な面持ちで答えた。 「それもあるけど……あたしは、ずっと自分の気持ちに嘘をついていたから……」 好きな人に好きと言える今が幸せ。 そう告げて、高坂京介の恋人は微笑んだ。
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/182.html
http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1273071103/848-853 俺があやせと最後に顔を会わせてから、5日間ほど経った。 偶然にも(むしろ運命?)3日間ほど立て続けに顔を会わせた俺とあやせだったが……まるきり良いことなんてなかったね。 だってよぅ……この3日間での出来事から得られたのって、この俺こと高坂京介があやせに嫌われてるっていう事実だけだぜッ!? いや、まあ、その、ねぇ? 確かに悪いのは俺ですよ? セクハラ紛いな発言とかしたし、ってか実際セクハラ発言もしましたけどっ! セクハラもしちゃいましたけどっ!! ……話が逸れたな。 まあ、それはともかく、だ。 なんとなく不思議な3日間から数日経った今日、桐乃に相談を持ちかけられた。 ……どうでもいいんだが、これは桐乃曰く“相談”ではなく“愚痴”みたいなものらしい。 桐乃が言うには、「……最近、あやせの様子がちょっとヘン」なんだと。 へぇ…………って、その件は俺も身に覚えがあるぞ? 数日前に会ったとき、確かにあやせの挙動ヘンだったし。 もしかすると、いや、もしかしなくても、そのことと関係してるんじゃねぇかな。 ……しかしまあ、だからと言ってそれをどうしろと言うのか。 「それが愚痴なら、俺がどうこうするような話じゃないだろ?」 俺がそう言うと、桐乃はジト目で睨んできた。 「べっつにぃ~? 初めからアンタなんかに期待してないしぃ~?」 “なんかに”ってのは余計だ! ああもう期待するだけ無駄だっつーのはわかってっけどもう少し敬ってくれたってバチは当たらないと思うんだよね俺はッ!! ……なんにせよ。 桐乃も多少は戸惑っているらしかった。(たぶん、多少どころかかなりだと思うが) 聞くところによるとあやせは、桐乃が話しかけても返事が曖昧だったり、ふとした時にぽけーっと上の空だったりするらしい。 ふむぅ……。 聞けば聞くほど、先日の状況と被っているように思える。 つーか、桐乃大好きなあやせが、桐乃を蔑ろにする光景なんてちょっと想像できないなぁ……。 まあ、あのあやせのことだ。 大切な親友を傷付けるような悪意ある行動を取ったりはしないだろう。 ……それなら何故? うーん……。 ……これは憶測だが、無難なところで、悩み事とか抱えてるんじゃないだろうか? 俺の知る限り、あやせの性格なら悩み事があっても、桐乃には心配をかけまいと隠し通すと思うんだよな。 ……もしかすると、隠そうとした結果がこうして裏目に出てるのかもしれんし。 ふと思ったんだが、そこらへんの思考は桐乃と似通ってるよな。 これが類友ってやつか? だが、まあ……自分で憶測を挙げといてアレなんだが、全く別な理由ってのも多いにあり得ると思う。 あんな大人びたナリだから忘れそうになるけど、あやせたちはまだ中学生で、多感なお年頃ってやつなんだよな。 だから、えーと……。 ……それは、つまり…………。 腕を組んで真剣に考え込んでしまう俺。 そんな俺を見て、桐乃は不機嫌そうに眉をひそめた。 「……なんか、心当たりとかあるわけ?」 ……何でそんな目で俺を睨むんですかねぇ? もう慣れたけどさ。 「いや……特にないな」 俺は素直にそう答え、外人風に肩を竦めた。 「……あっそ」 どこか投げやりに言い捨てて、桐乃は部屋を出ていった。 聞いてきたのはお前だってのになんだその態度はっ!? というツッコミは心の中で済ませた。 口にしたら確実に痛い目見るからな……。 そんな毎度恒例な理不尽っぷりに、俺はため息を漏らした。 ……桐乃の愚痴に付き合うわけじゃないが、俺もあやせの挙動には引っ掛かるものを感じていた。 何か挙動不審というか……ともかく、あやせの行動に首を傾げていたわけで。 ……。 …………いや……待てよ? もしかすると俺は、その全容を知ってる(かもしれない)人物に一人心当たりがあるやもしれん。 そう、それは―― 『……え、あやせちゃん?』 底抜けに天然体質な俺の幼馴染みだった。 なぜかあやせと仲の良い麻奈実なら、桐乃にできないような相談とか受けてるかもしれない、と踏んだ俺ってちょっと賢くね? と、まあそれはどうでもいいのだが。 俺は、桐乃が部屋を出ていってからすぐに麻奈実に電話をかけていた。 「ああ。 なんか、うちの妹が心配しててな」 『ああ~、そっか。 桐乃ちゃんと仲良しなんだもんね、あやせちゃん』 ぽんっ、と手を叩いた仕草をする麻奈実、を想像した俺。 ベタなあいつのことだから本当にやってる気がする。 「それで、まあ、何か聞いてないか? あやせから」 と、軽いトーンで尋ねたのだが、 『ふぇっ!? えっ、えぇ~と、そのぉ……』 麻奈実からは、なんとなく気まずそうな反応が返ってきた。 ……そんな答えづらいような質問か? これ。 「なんか聞いてるんだな? 麻奈実」 思わず追及しちまった。 ……さっきは桐乃を言い訳にしたけど、やっぱり気になってんのな、俺も。 それから一頻り“うぅ……”とか“これ言っちゃっていいのかなぁ……”とか呟いていた麻奈実が、ややトーンを落とした声で、 『……直接ね、会った方が良いと思うよ、わたしは』 ………………え。 ……………………“俺が”? 「……んと、桐乃とあやせが、だよな?」 『…………』 麻奈実は答えずに、黙り込んでしまった。 主語のない麻奈実の言葉に、俺は頭にいっぱいの?マークを浮かべながら、何やら得体の知れない緊張感に襲われていた。 「え、ま、麻奈実? どうしたってんだ、答えてくれよ……」 『………………』 たっぷり20秒くらい口を閉ざした麻奈実は、一言短くこう告げた。 『明日の17時に、交番近くのあの公園で』 ――ブツン。 一方的に電話を切られた。 ………………やばい。 なんか知らんけどっ、なんか知らんけどヤバ気な雰囲気だぞこれっ! 一体全体どうしてこんな流れになったっ!? い、今さら混乱してもしょうがないんだけど。 いやでもやっぱり混乱するよなこの状況っ!? …………麻奈実は、あいつは、最後になんて言った? ――明日の17時に、交番近くのあの公園で。 つまり、あやせとの会合のためによく訪れるあの公園、だよな? これは、俺が行くべきなのか……? 桐乃が行くべきなんじゃ、いや、でも……??? ……わっかんねー。 どうすりゃいいんだ、マジで……。 こんなとき自分の頭の悪さにとことん嫌気が差す。 俺は、麻奈実にどんな答えを求められてんだ? 正直なところ全くわからん……。 はぁぁぁぁぁぁぁぁ……。 俺は、麻奈実の残した意味深な言葉のせいで、一晩中頭を抱える羽目になった。 (続く)
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/284.html
http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1289713269/382-388 「あにパン! あにパン以外にありえないでしょ!」 「私はおにパンの方がピッタリだと思うんだけどなぁ……」 「私はにぃパンを推奨したしますわ」 桐乃とあやせと沙織の三人はリビングでなにやら盛り上がっている。 まさかあやせの居る前でオタク談義はしないだろうから 多分ファッションとか、そういう話なんだろう。俺の知らない単語も出てきてるし。 こうしてみると、沙織も桐乃やあやせとそう変わらない、俺からみりゃ年下の女の子なんだなーって思ったり。 なんつーか、こうしてあいつらが楽しそうに喋っているのを見守るだけで、俺満足? この気持ち、まさしく兄だ! 「……なに厭らしい目でいこっち見てんのよ、変態」 OK、前言撤回。一瞬足りともコイツを庇護下に置いた俺がバカだった。 「お前らが楽しそうで何よりっつー俺の兄心になんてこといいやがるんだ、お前は」 紅茶をテーブルに運び、全員に渡す。 桐乃は砂糖1個、あやせはミルク、沙織は砂糖ミルク共に無しっと。 この気遣いもまさに兄心だね。決して小間使いに堕ちてるわけじゃないからな。 「京介お兄様は兄の純粋種ですものね」 おお、沙織はよく分かってるじゃないか!! 「変態な部分を除けば、お兄さんは理想のお兄さんかも知れませんね。そんなお兄さん、お兄さんじゃないですけど」 喜んで良いのか泣いて良いのかわからんぞ、あやせ…… 「あんたがベストオブ兄貴?! 寝言は寝て家っての! ウザッ。よくそんな事言えたわね。 あんた、エロゲから何にも学ばなかったの? あの妹の為に生き、妹を心から愛し、妹の為に闘う兄貴と、あんたのドコが一緒?」 二次元と三次元を一緒にするんじゃねぇ! つーか、俺がいつベストオブ兄貴を自称したよ!? そんな賞の受賞無理だかんね?! 俺は世界最速でもなけりゃ、天を突くドリルも持ってねーし、パーフェクトもハーモニーも捨ててな いからね? 「たっくよぉ……兄貴なんてやってられねぇよな。ロックが羨ましいぜ。弟で、姉ちゃんがいてな。俺には一生味わえない感覚だ」 「あら? では京介お兄様は今日一日、私たちの弟というのは如何でしょうか?」 ……は? いや、沙織、何言ってるの? 弟がイイなんてのはちょっとした冗談だっての。 「どうせなら私と結婚いたしますか? そうすればお姉様が京介さんにはできますわよ」 「は、はぁ!? ちょ、ちょっと何言っちゃってんの沙織! じょ、冗談でもコイツと結婚とか、アンタが可哀想すぎるって!」 「そ、そうですよ! お兄さんは変態なんですから、お姉さんの身だって危険ですよ!!」 「お前ら非道くね?」 しかし、沙織の提案で、結局俺は今日一日こいつらの妹をすることになったのであった。マル。 「……っていっても、どうすりゃいいんだ? 取り敢えずアイツらをお姉ちゃんとでも呼べばいいんだろうが」 と俺の前をあやせが横切っていった。 ……へ、いいぜ、やってやろうじゃねえか! 思い出してみれば、俺はこういう状況程燃える男だったじゃねぇか! 相手があやせとなれば、さらに萌えるぜ! 「あやせお姉ちゃん、お出かけの準備できた?」 「なっ…なっ……何を言ってるんですか! 気持ち悪いです、お兄さん!」 「いや、ホラ、俺、弟……」 マジレスされたので、俺はかなり困った。が、あやせも思い出したらしく 「そ、そうでしたね、お兄さんは今弟なんでした」 「あやせお姉ちゃん、お兄さんじゃなくて京介って呼んで?」 調子に乗ってお願いのポーズもしてみる。いいぞ、なんかテンション上がってきた!あやせたんヒャッホゥ! 「きょ、京介…さん……」 「お姉ちゃん、どうしてさん付けなの? 俺達姉弟でしょ?」 「きょ、きょ、きょ、京介!!」 「お姉ちゃん、顔真っ赤だよ? 風邪引いちゃった?」 コツン、と額を合わせて温度を測ってみる。姉弟ごっこをしているとはいえ、俺の方が背が高いのはどうしようもない。 「ひゃうっ! ふ、不潔です! 触らないでください!!」 「お、俺、あやせお姉ちゃんの心配をしただけなのに…ッ!」 「ぁぅ…ぁぅ……ご、ごめんない。痛かった? お姉さんがナデナデしてあげますね」 おおう、なんということでしょう! 普段なら手錠とか通報とかに成りかねない、あやせタッチが弟ならし放題どころか あやせから俺に触れてくるとは!? ビバ弟!! もう俺、兄貴に戻らなくてもいい!! ぽた…ぽた…… 「って、あやせ! 血! 血! 鼻血!!」 「は!? ……あ…っ…あ…」 目の焦点が合ってないあやせに、危機感を覚え、俺はもう弟では居られなくなった。 慌ててあやせの背中をさすりながら、ティッシュを探して鼻に詰めてやる。 「…っ……こ、これは……お兄さんが弟で可愛かったから…… というかお兄さんをナデナデしててたらボーッとしてきて……」 何かブツブツとうわごとを繰り返すあやせは、ハタと俺を見上げて、状況を確認しているようだった。 「よ、よう、大丈夫か?」 「……な、なに触ってるんですか」 「へ?」 と、俺はあやせの背中に回した手に気づき、半歩飛び下がる。 「違っ…これは純粋にお前の事を心配して……」 「死ねエエエェェエエェェエエェェ!!!」 「痛ってぇ……これがアレか? 理不尽な姉に振り回される弟の哀愁ってやつなのか?」 ……妹・桐乃に振り回されている兄・俺と大して変わらない構図な気がするのは気のせいか? 「あら京介、どうかしまして?」 「あ、沙織」 「京介、お姉さんを呼び捨てにしたらいけませんよ?」 口を「ω」にする沙織。ははは、コヤツめ、既に姉弟コスプレに入っておるな。 「ああ、実はさ、あやせお姉ちゃんにドつかれてさ」 「あらあら、あやせちゃんは乱暴ですわねぇ。痛いの痛いの飛んでいけー」 「沙織姉ちゃん、ガキじゃないんだから、そんな事されたって痛いまんまだって」 「昔はこれで京介も泣きやんでいましたのに……京介もいつの間にか大人になったのですわね」 「いや、俺今泣いてねーし」 つーか、「昔は」って……いや、設定的には正しいのか? さすがは沙織というべきか、細部までつくりこんでやがるな。 ふ……そうでなくてはな。これは俺の持論だが、闘いはこうやって、ある程度実力が近くなくては面白くない。ブルアァァ。 「沙織姉ちゃんさ、別に俺は大人じゃねーよ。っていうか、大人になんかなりたくない。 大人になったら、沙織姉ちゃんの弟じゃ居られなくなるだろ。俺、ずっと姉ちゃんの弟がいい」 お、これは結構いい感じのセリフが出てきたな。俺って意外と芝居のセンスがあんのか? 「私が大人になって、京介が大人になっても、私達はずっと姉弟ですわ」 「ホントか? ……ならさ、やっぱ昔みたいにしてくれよ」 「昔みたいに?」 「痛いの痛いのとんでけーじゃなくてさ、もう一つあったろ? 忘れちまったのか?」 「まさか、私が京介との思い出を忘れるわけがございませんわ」 「じゃあ、その……昔みたいにギュッとしてくれるよな?」 「ええ勿論、昔みたいにギュッと……ええ!?」 おやおや、沙織さん、地がでてるぜ、くっくっく…… 「俺、沙織姉ちゃんの胸に抱かれるとさ、すげー安心するんだよな」 「そ、そうでしたの……?」 「姉ちゃん、覚えてないのか……やっぱ、俺を置いて大人になっちまったんだな……」 「京介! お、お姉ちゃんは絶対に京介を置いていったりしません!」 ガバッ!と擬音にするならそんな感じで、沙織は俺に両手を開いて突撃してきた。 ハムッ キターーーーーーーー 沙織の柔らかい二つのおっぱいに俺は顔を埋める形になった。 おお、これ超ヤベェ!? こんな桃源郷が世界に存在していたとは…… 神は人に試練を与えたもうた。それを乗り越えし者にのみ、この祝福を授けたのだ。つまり弟万歳!! ずるいぜ、弟ってずるいぜ。兄貴が妹の胸に顔を埋めたら変態だが、弟なら姉貴がおっぱいさせてくれるってのかぁ!? なんか左右から叩かれてるし。おっぱいで俺叩かれてるし。なんつーこった! 叩かれて喜ぶとは俺はMだったのか! だがそれがいい。これがMだというなら、それは無限大のMだ。つまりおっぱいは宇宙だって事なんだ! 「つーか、もう止め……っ……沙織……苦し……」 オッパイロックされたまま、身体を両手でガッチリ掴まれて、左右に振り回されている俺。 沙織のアトミックシザースは俺を離す気配もなく、月の繭に俺は埋葬されかけていた。 いかん、もう息が……俺の命が……弟の命が吸われていきます! ああ、光が広がっていく……花火かなぁ? 違うな、花火はもっとばぁーって広がるもんなぁ…… し、死ぬかと思ったぜ……ふー…… だが、まだ俺は弟をやりとげていない! ここまできたんだから、桐乃のヤツもお姉ちゃんって呼んでやるぜ。 あいつ、妹萌えだからな。案外、弟もいけるんじゃねーの? くっくっく、最初はエロゲーの妹のように従順でお姉ちゃん大好きな弟を演じてやるが 取り入った後はいつもの貴様のように、ワガママで高慢で姉貴を振り回す弟になってやるのだーーー!! コンコン 「姉貴ーいるー?」 「は? チッ……そうか、弟か。入れば?」 おい、なんかいつもと変わらなくねーか? つーか俺も「姉貴」はないだろ、「姉貴」は。これじゃあ従順で可愛い弟には遠いだろ! 「よ、よう姉…」 「頭が高い。アンタ、姉貴を見下ろしていいと思ってんの?」 「お前は殿様か!!」 「っていうか何? 姉貴の部屋にやってくるのに手土産の一つもないわけ? 使えない弟ねぇ。お菓子ぐらい持ってきなさいよ」 「まてやコラ! なんつー横暴さだ!」 「はあ? はっ! 大方、沙織やあやせに甘やかされてきて調子乗ってるんでしょうけどね、いい? これはあたしが姉貴だからしてや ってんのよ」 はあ? 「甘やかしてばかりで、弟がダメ人間になったら困るじゃん? だからあたしだけは弟をこき使って世の中の厳しさを教えてやってんの 」 「な、なるほど……」 「わかったなら、桐乃おねーさんの優しさに感謝しなさい? ホラ、足舐める」 「へいへい、分かりまし……って、アホかーーー!! 騙されねーぞ、俺は! よしんば騙されたとしても、姉貴の足を舐める弟がどこ にいる!!」 「余所は余所、ウチはウチでしょ。余所の家がどうか知らないけど、ウチでは弟は姉の足を舐めるの」 「舐めねーよ! そんな家庭だったら、俺家出するね!! 盗んだバイクで走り出すね!!」 ベットに座る桐乃に対し、向かい合うように椅子に座る俺。 「はあぁ……アレか? やっぱ姉貴呼びが悪かったのか」 「何言ってんのよ?」 「だから、姉貴じゃお前萌えないんだろってこと。桐乃お姉ちゃん!とか、桐乃ねえたま!とか、そう呼べば良かったんだろってさ」 「キモっ……」 「お前がいつもエロゲーの妹達に呼ばせてることだよ!!?」 「それなら別に、姉貴呼びの妹もいるし。あたし全然萌えられるしぃ」 そうだった、こいつは妹に関してはもはやプロレベルだったのだ。 「つまりあれか、弟がダメだと」 「そりゃそうじゃん? 妹と弟の間には越えられない壁があるのよ。堅さでいえばガンジョーダXぐらい?」 表宇宙なら最強の堅さだな。裏宇宙ならザルだけど。 「それに、アンタの顔と声で弟とか、鳥肌が立つっての」 冷静に考えてみりゃそれはそうだが、その鳥肌の立つような行為を既に2回もしてきた俺って一体…… くそっ! また後先考えずに突っ込む俺の悪い癖かぁぁ!? なんなんだこの病気! 厨二病か? 疼くのか? 静まれ、お調子者の血 !! 「ま、妹抜きにしたって、やっぱ弟には全然萌えない。あやせや沙織にちょっかいだすアンタみてたけど、萌えられなかったし」 見られてたーーー!? もういい、もう殺してくれ……デス・弟…… 「変態……」 「ボソっというなー!」 「やっぱさ……兄妹がベストだよね」 「ん……さぁな。俺他に知らねーからわかんね」 コイツのエロゲーやってても、兄妹最っ高!ってなったことはないしな。 「む……ちょっと、あんたこっち来なさいよ」 「あんだよ……」 もう俺は弟じゃなく、いつもの兄として、桐乃の命令を聞いていた。 「……ナデナデ」 「……は?」 桐乃が俺の頭に手を伸ばして、ナデナデをしていた。 ちなみに結構距離があることと、俺の方が座高…背が高いこともあって、桐乃はちょっと大変そうだ。 「お前、何して……うわっぷ!?」 「うっさい! だまれ! シスコン変態バカ兄貴!!」 なんか柔らかいのが当たってるんですが……沙織ほどデカくないが、これはこれで…… 「って、うあああぁああぁあ!?!!」 俺は桐乃の胸から慌てて飛び退いた。 「い、い、いきなりなんばするっとねーー!!」 「アンタ千葉人でしょーが!!」 「何考えてんだよ、お前は!!」 「だ、だから、同じことやったんでしょ!」 はあ!? 「お、弟と姉でやれることなら、べ、べつに兄と妹でもできるってこと! わかったでしょ!! それに、姉弟でやるより、兄妹でした方が良かったでしょ? そうでしょ!!?」 は、はぁ……? つ、つまりコイツは、姉弟より兄妹が優れていると証明したくて、今日の俺をトレースしたってことか? なんつー……筋金入りの妹萌えだ…… 「どうなの! 答える!」 「あ? あー…まぁ、そうかもな」 「そう、ってどういうことよ?」 「それは、つまりだな……ああもう! そうだよ、弟としてナデナデされたりギュッとされるより 兄貴としてナデナデされたりギュッとされた方が良かったよ! ああ良かったね! これで満足か!!」 「へ、へぇー……やっぱアンタも筋金入りのシスコンだよねぇ……キモッ」 ぐっ……また勢いで㌧でもないこと言っちまった気がするぜ。 腹立つなぁ、ニヤニヤ笑いやがって!! 「ほら、アンタもさっさと準備しなさい!」 「は?」 「なに惚けてんの? 妹に相手してもらえて天国行ってた? 超きもっ! これから観光でしょうが。それでアンタは荷物持ち。わかってんの?」 そういやそうだった。 はあ、荷物持ちねぇ……しゃあねぇな、それが俺の立場ってか。 桐乃がこっち見て八重歯を覗かせた。 「さ、はやく行こっ あ に き !」 「……おう」 結局、俺はどこまでいっても兄貴なんだって、まあそれだけ気づいたことでよしとするか。 俺は桐乃の後を追った。 沙織やあやせも俺達を待っているようだ。 今日も一日、兄貴として頑張りますか。 おしまい
https://w.atwiki.jp/oreimoportable/pages/28.html
フローチャート 俺の妹 ↓ バーストする部屋 ↓ 高坂桐乃 ↓ 真妹大殲 シスカリプス ↓ ↓→→→→→→→→→→→→ ↓ ↓ 崇高なる作戦 またの名を地味子 ↓ いないよりはまし ↓ エクササイズ ↓ 反駁と説得 ↓ チーム分けは置いといて ↓ →→→→→→→→→↓ ↓ ↓ 壁越しの懊悩 大会打ち上げ ツーショットトーク 反駁と説得 黒猫 桐乃のことか 手先じゃないぜ なんだって? しすしす 桐乃 さらさらねぇ わかんねー! なんだそれ 嘘だと信じたくて 麻奈美 んなわけあるかぁ バナナって! ノーパン 出発前夜の狂想曲 桐乃 こんなに! 俺にだって どこがだよ! 到着★京の都 麻奈美 さすがにそれは 知恵袋かよ! どうすんだよ? またの名を地味子 なに言ってんだ! ヌキなしの 黒猫 びびらねぇよ! 言いすぎ! ハンデ言うな! ふざけんなよ!
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/26.html
「あの~すみませーん、赤城の家の者ですが、兄を呼んでいただけますか?」 教室に入ろうとする俺の背中に、そう声をかけてきたのは一年生とおぼしき 背の低いポニーテールの女子生徒だった。地味な顔つきだがそれなりに可愛らしい。 「赤城の……?」 「なんだよ、なんの用だ?」 俺が取り次ぐ必要もなく、その声を聞きつけた赤城がこっちにやってきた。 赤城の声は若干不機嫌っぽかった。 「あのねえ……おにぃが弁当忘れていくから届けに来てやったんでしょ」 赤城の妹らしき女子生徒は怒ったように巾着に入った弁当を突き出す。 「そっか、わりぃ。サンキュー」 「貸しだからねー。……あ、それじゃ、失礼しまーす」 赤城の妹は何の役にも立たなかった俺に丁寧に挨拶してその場を去った。 「……おまえ、うちの学校に妹なんていたんだな。知らなかったよ」 伝言頼まれたにも関わらず、何の役にも立たなかったバツの悪さから、俺はなんとはなしに話をふった。 それに対し赤城は、「言った事ないからな」と素っ気なく答える。 「そもそも妹なんて、最近、全然、接点ないしなあ」 「……そうなのか? 随分仲よさそうだったじゃねーか」 正直、なんだか眩しかったぞ、おまえら。 「そうか? 普通だろ? 家にいたって飯の時以外、ほとんど顔あわさないし」 ふーん。どこの家でもそんなものなのか。ちょっと意外だ。ま、他所のお家事情なんて田村家くらいしかよく知らないしな。 「もう何年も一緒になんかした事とかないよ。小学生の頃は一緒にゲームとかしたけどな」 「ちょっ……! 兄妹一緒にゲーム!? しかも小学生の頃から!?」 俺は思わず身を乗り出して叫んだ。 「……何おどろいてんだよ。そんなに小学生が家族でゲームしたら変か?」 気圧された赤城が目を丸くしてのけぞる。 「い、いや。別に変じゃない」 お、落ち着け俺。エロゲじゃなくプレステとかの普通のゲームに決まってるじゃねーか。 義務教育中の妹が兄貴に一緒にエロゲやろうと言ってくるなんて、いくら日本がオタク大国だからってウチくらいのもんだって! 「……じゃあ、一緒に出かけたりとかもしねーの?」 「一緒に? 妹と? ありえないだろ。親とかと一緒に旅行行った事ならそりゃあるけど」 へー、そういうものなのか。あんなに仲良さげだったのによ。 と、そんな会話を学校でやったもんだから、ついつい家で、妹をガン見しちまったんだよな。 「……なに? きもいんですけど」 すると当然、こういう流れになる。 「べつになんでもねえよ」 そう言って目をノートパソコンに戻す。家に帰る早々、妹に呼びつけられてシスカリ対戦中ってわけだ。 なんか、部活が試験休みとかで暇なんだとよ。試験休みなのに勉強しなくていいのか? とは言わない。 試験前に慌てる方がどうたらこうたら、また、こっちがバカにされるのがオチだってのはわかってるからな…… 「ふん。また私のパンツみてたんでしょ。飽きないわね、この変態シスコン魔王」 「見てねえよ! おまえ、その話はもうしねえって約束しただろ!?」 そんなに見られるのが嫌なら、そんなエロゲのヒロインが穿いてるような縞パンじゃなく、 家の中でも見せパンとやらを穿いとけよ! 「約束? あんたが勝手に言ってるだけじゃん。なあに、それとも自分の変態を認める? そんなら私も諦めて おとなしく視姦されたげてもいいけど~」 「んなもん、誰が認めるか!」 まったく。こないだ、あんな事があったばかりだってのに、こいつは、懲りるって事を知らんのか? 「……じゃあ、何、さっきあたしの方をじっと見てたのよ?」 「べ、別に見てねえよ」 「見てたかどうかなんて聞いてない。なんで見てたのかって聞いてんの」 どうしてそんなに自信満々で決め付けられるかな。まあ、実際見てたんだけどさ…… ちっ……このパターンで食いつかれて逃げおおせられた試しなんてないんだよな。 あきらめ気分で、俺は話し始めた。 「……ちょっと、学校の奴と妹の話をしたんだよ」 「は? きもいから知らない所で勝手にひとの話しないでくんない?」 「ふん、おまえの話なんてしてねえよ。クラスの奴の妹の話さ」 「……クラスメイトの妹?」 ありゃ、なんか食いついてきた? こいつ、二次元だけでなく三次元の妹にまで興味あんのか? 「わかった。それであんたはあらためて自分の妹の素晴らしさをかみしめてたってわけね」 いや、わかってない。おまえ全然、わかってないから。 勝手な言い草の妹をちくりとやりたくなって、つい俺は余計な事を言っちまう。 「あのな知ってるか? 他所の妹は兄貴の事を、アンタ呼ばわりなんかしねえんだよ」 「ウザっ!」 妹は心底、嫌そうな声をあげる。……まあ、確かに俺も他所の兄貴と比べられたらいい気はしねえし。 ……ちょっと失敗しちまったかな? なーんて考える殊勝な俺に、いつもの勝気な表情に嘲笑を浮かべて桐乃がのたまう。 「自分を棚に上げてよく言う~ 兄貴扱いしてほしけりゃ兄らしくしろっての。妹のパンチラ狙ったりするような変態は、アンタで十分」 反省撤回。こいつに気遣いなんて無用だ。 「おまえこそ、少しくらい妹らしくしたらどうなんだよ。他所の妹はな、忘れ物をしたら届けてくれたりするんだよ」 「なにそれ? エロゲの話?」 ちげーよ! もう、つっこむ気力もねえよ! 俺がため息をつくと、桐乃は再びウザそうに俺を見る。 「……あんたねえ。他所の妹は、他所の妹はって、隣の芝生は青く見えるってことわざもしんないの?」 知ってるよ? でも本当に隣の芝生が青い時にはそのことわざ使いませんよね? うちの芝生、どこからどうみてもまっ茶色の枯れかけじゃん? つーか、むしろ焼け野原? そう思いながらもその事をだまっていると妹は調子にのって、あろうことかとんでも無い事を言い出した。 「だいたいさー、うちってかなり良い方でしょ? 兄妹仲」 「………………は?」 人間、あまりに理解の及ばない話されると、ちゃんと聞こえてても脳がそれを拒否するみたいだな。 「なあに。あんた、もしかしてバカにしてる?」 さすがに聡いな、うちの妹は。ああ、俺は今、心の底からおまえの事をバカだと思ってるぞ。 「……ムンッ!」 ドゴッ! 「うがっ!」 桐乃のつま先が俺のアゴを強打した。揺れた! 脳が揺れたぞ!? 「何しやがんだよ!」 「あんたが失礼な事考えてるからでしょっ!?」 あれ? 俺、声に出してたっけ……? あらゆる意味で納得しかねるといった俺の様子をみて、桐乃は子供を諭すように語りはじめた。 「あのねえ……たとえばさあ。普通、あたしくらいの年のコの部屋に兄貴が自由に出入りとかできると思う?」 「……そりゃ、思わねえよ?」 俺も自由に出入りなんてしてねえし。 「でしょ?」 いや、桐乃さん? そこのつなげ方、な~んか変だと思うんですけど…… 「今だって、こうして一緒にゲームで遊んでるじゃん?」 おまえが強制的に相手をさせてるだけだがな。 「たまに一緒に出かけたりもするし」 おまえの趣味や用事に無理やりつき合わされてる事を『一緒にお出かけ』と表現していいのならな。 「ま、それもこれも全て、シスコンの変態バカ兄貴に対する、あたしの献身的な気遣いの賜物よね~」 「は?」 「シスコンのあんたが欲求不満で性犯罪に走らないよう、私が相手してやってるんでしょ。感謝してよね」 「おい! ふざけんのもいい加減にしろよ、てめえ!?」 誰が性犯罪に走るって? さすがの俺もキレるわ。これ以上、おまえの妄言なんて聞いてられるか! しかし桐乃は、俺の威圧に動じることもなく余裕しゃくしゃく言い放つ。 「……なあに? 照れ隠し? キモイんですけどぉ~」 その妹の言葉に俺は、両肩をがっくりと落とすしかなかった。 はあ、口ではどうせこいつにはかなわねえんだよな。まあ、じゃあ何ならかなうのかって言われても 情けない事に何にも思い浮かばねえけどさ…… がっくり来ている俺に、桐乃はさらに追い討ちをかけてくる。 「ちょっと。そこでしけた顔しなくてもいいじゃん。あんたシスコンなんだから現状に文句ないでしょ?」 「んなわけねーだろ!」 俺は断じてシスコンじゃないから現状に文句ありまくりだよ! すると、さも意外だと言う顔をして桐乃が問い直す。 「じゃあ、これ以上どうしろって言うわけ?」 どうもしていらねえっての。俺にかまわないでくれるのが一番だよ。 ま、そんな事を言えるはずもないので、俺は別の事を口にした。 「なんだよ、言えば聞いてくれるってのか?」 んなわけないでしょ! そんな台詞でこの話題はおしまい。 そう思っていたのだが、桐乃の返事は意外なものだった。 「聞いてあげないこともないよ」 「……マジ?」 俺の驚き顔を見た桐乃は、それまでの機嫌良さげな顔をしかめっ面に取り替えて言った。 「あ、でも、やらしいお願いはダメだかんね」 「しねーよ!」 おまえは俺をなんだと思ってんだ! ああ、そっか。変態シスコン兄貴と思ってんだっけ…… 「じゃ、言ってみ? ほらほら、はやく」 なんだかわからないが、上機嫌でそう催促する桐乃。なんでこいつ、こんなに機嫌いいんだ? 「えーと……それじゃあ、昨日わたされたエロゲ、やんなくてもいい?」 実はまた新作のエロゲをクリアするように仰せつかったばかりだったのだ。 すると桐乃の機嫌は一転、苦虫をかみつぶしたような顔で俺を睨み付けながらこう言った。 「ハァ? 何バカな事言ってんの? 兄妹仲をよくするって話してんのに、 私らの数少ない共通の話題なくしてどうすんのよ」 あー、やっぱり却下されたか。それにしても共通の話題ってのは違うと思うぞ。 俺が一方的におまえに合わしてるだけなんだから。 しかしこれは意外に難問だ。そもそも俺は兄妹仲をよくしたいなんてこれっぽっちも思ってないんだから。 にも関わらず兄妹仲を改善するためのお願いを強要されるといった困難な立場に置かれているという…… うーん、なんでいつもこんな感じになっちまうんだろ? 「じゃ、じゃあ……まずは呼び方からあらためるってのはどうだ?」 とりあえず無難な提案をしてみる。 「たとえばなんて呼んで欲しいわけ?」 「え……? そりゃ、『お兄ちゃん』とか、『兄さん』とか?」 赤城んとこみたく『おにぃ』ってのでもいいし。とりあえずアンタとかシスコン以外ならなんでもいいよ。 「ハァ? 何それ。エロゲ脳もいい加減にしてよ」 「ちょ! 実の妹に兄と呼ばせるのがエロゲ脳なのかよ!」 ……まあ、確かに普段よばれ慣れないから? 今でてきた呼び方は全て、 最近プレイさせられた妹モノエロゲからとらせていただきましたけどね…… 「だいたいさー。その件ならさっきも言ったでしょ。あんたなんて、アンタで十分」 なんだそりゃ。 「わけわかんねえよ。兄妹仲を良くするための話なら、まずは互いを兄・妹として認めあうところから始めるべきだろ?」 俺としてはこれ以上ない正論を述べたつもりだったのだが、桐乃はそれをあっさりと否定する。 「は? あたし前に言わなかったっけ。兄貴面すんなって」 覚えてるよ。俺も同感だったからな。でもよ。 「それとこれとは別だろ。おまえだって、兄妹仲がどうこう言ってるじゃねえか。兄・妹と認めてるからだろ?」 「ふん。勝手な解釈やめてくれる? 単なる便宜上の問題でしょ。兄と認めてようがいまいが 私らの関係、ほかに表現しようが無いじゃん?」 へー、そうかね。他にもあるだろ、もっとも適切な表現がさ。『アカの他人』って奴? ……一瞬そんな事も思ったが、いくら口ゲンカの売り言葉に買い言葉でもこれはいっちゃなんないと思った。 そもそもさ。冷静に考えてみれば、いまさらこいつと、兄だと認める認めないで喧嘩するとかありえねえし。 兄と思われてようが思われていまいが、どうでもいいはずだろ……俺は。 そんな思考をめぐらせてる間の俺の沈黙をどう受け取ったのか、桐乃が怪訝そうにこう言った。 「……なによ、黙り込んじゃって。なあに? あんた、まさか、あ、あたしと……その……きょ、兄妹以外の 関係の方がいいって思ってるとか?」 俺が思ってる事を読み取ったのか、最近たまに見る怒り爆発寸前のような、頬を紅潮させたしかめ面でそう言う。 しかし桐乃も『その言葉』だけは言っちゃだめだと思ったのだろうか。はっきり言わずに言葉を濁していた。 「いいや。思ってねえよ。俺とお前の関係は兄妹以外ありえねえ。俺たちが望もうが望むまいが関係なく。 そういう風に生まれちまったんだからな」 最近、ふと思う事がある。俺と桐乃がもし兄妹として生まれなければ、もっと違う関係が築けたのだろうかと。 たとえば桐乃が実の妹じゃなく単なる出来のいい幼馴染だったら? へっ。それこそまったくせんない話だ。考えるだけ無駄ってやつだな。 そもそも兄妹でなければ、たとえ隣に住んでたって一切接点なんてなかったんじゃねえか? 少なくとも、俺にとってこいつはそういう存在だったはずだ。 「……ふん、何気取ってんだか」 桐乃がそっぽ向いて鼻を鳴らす。そして、再びギロリとこちらを睨み付ける。 「……で! お願いは? こんなことさえすぐに思いつけないくらいどうしようもない低脳だったの?」 激しくイライラした感じで桐乃が言う。そっか。その話まだ終わってなかったのな。 なんだか色んな意味で気が失せてた俺は、罵詈雑言に反応する気にもなれず投げやりに思いつくまま言葉を放った。 「もう、なんでもいいよ……。背中でも流してくれれば改善すんじゃね? 俺とおまえも一応家族なんだしさ」 そう言った時の俺の頭の中には、昔──といってもほんの数年前──親父の背中を流してやった時の事が思い出されていた。 たしか、親父に酷くしかられて……俺もそんときはなぜかひっこみつかなくなって激しく抵抗して…… そんなことがあった後、おふくろの奴が、風呂一緒に入って背中流して来いとかうるさく言うから渋々流しに行ったんだよな。 そうしたらお互い最初は無言だったけど、もっと力を入れろとかなんとか言う話から少しずつ会話がはじまって、 最後には親父の方から少しきつく叱りすぎたって言ってくれて……それで俺も素直に謝れたんだっけ。 「はあ? それって一緒にお風呂に入りたいって事? さっきエッチなお願いはダメだって言わなかったっけ。あたし」 「勝手にニュアンス変えるんじゃねーよ!?」 俺の数少ない暖かな家族の思い出が台無しにされちまった気分だよ! 「わかった、わかった。さ、もう出てって。暇もてあましてるあんたと違って、私、いろいろ忙しいんだからさー」 そう言ってすげえ力で俺の腕をひっつかみ、部屋の外へ追い出す桐乃。 「は? おい、勝手な事言ってんじゃねえよ。おまえがシスカリやるって、出かけようとした俺を無理やり……」 「はいはい。対戦なら、また今度、相手してあげるからね」 「誰もそんな事言ってねえ! ……あ、おい!」 バタン! あっという間に追い出されちまった。 適当な事言われたと思って怒ったのかね。まあ、実際適当な事言ったんだけどさ── 「……あ」 もしかして、俺がいやらしい気持ちであんなこと言ったと思ったから、それで怒ったのか? 自分はまじめに兄妹仲の改善のための話をしているのに……って。 もしそうだったら悪い事しちまった……かな。 ……いやいや、あいつはそんなタマじゃねえ。ついさっき、あいつにそんな気遣いは無用だって悟ったばっかじゃん! どうせ、今回の話題全体が、なんかのひっかけだったんじゃねえのか? それが自分の思うような面白い方向に 話が転がらなくて嫌になっちまったとかさー。ありそうな話じゃん? でもな── 「……くそっ。なんで俺がこんなことでイライラしなきゃなんねえんだよ」 こういう時は、幼馴染の顔を見たくなるのが俺の常だった。でも、もうこの時間じゃ遊びに行くのもな…… 結局、俺は夕飯の時間まで部屋でふて寝を決め込む事にしたのだった。 「京介、父さん今日は泊まり込みだから、あんたもうお風呂入っちゃいなさい」 親父がいないせいか、やけに手抜きくさかった夕食の後、リビングで一人テレビをみているとおふくろからそう声をかけられた。 「……桐乃は?」 実際に言われた事があるわけじゃないのだが、なんだか桐乃の前に風呂に入ると、髪の毛が浮いてるのなんの 文句つけられそうで、なるべく遅い時間、一番最後に風呂に入るのが俺の近頃の習慣になっていた。 「寝る前に入るから最後でいいって。あの子、今手が離せないんだってさー。めずらしく試験勉強してるみたい」 「ふーん。いつもは試験前に慌てるのは、普段やるべきことをやってないからとか偉そうに言ってるのによ」 俺はいつぞや言われた話を思い出して、そう陰口をたたいた。 いや、俺が根に持つタイプとか、陰口叩くタイプとかってんじゃないんだぜ? 妹だけは特別なんだ。 「何言ってるの。京介、あんたももうすぐテストでしょ? 普段、やるべきことをやってないあんたは慌てて勉強しなくていいわけ?」 うえっ。とんだヤブヘビだ。 「風呂に入ってきまーす」 そう言って俺はその場を逃げ出した。 チャポン。 「ふー。今日もつかれたぜ……」 湯に身体を浸しながら独りごちる。 たいした事は何もしてないのだが、おそらく桐乃との事が俺の精神にダメージを与えてるに違いない。 あの日からこっち、家にいるとなかなか気が休まらない事が多くなっちまった。 からんできたらからんできたでウザイし、無視しあってる状態になるとそれはそれで神経使うし。それに比べて…… 「あーあ、今日は麻奈美んとこにも遊びにいけなかったな……」 あいつと一緒だと本当に癒されるんだけどなー。 なんで実の妹相手にピリピリして、血の繋がりも無い相手に安らぎを覚えるんだろうか。 ……結局、血縁なんて意味ねえんだろうな。家族で憎みあったり殺しあったりだってする事もあるわけだし。 一緒に過ごす時間が長いって意味なら、麻奈美の方がよっぽど家族だし。 考えたら親父とおふくろのように夫婦も家族だが、夫婦間には血縁ないよなあ…… そんな風にとりとめの無い考えにふけっていると、突然、夕方の出来事が思い出された。 『だいたいさー、うちってかなり仲いい方でしょ?』 『……じゃあ、あんたはこのあたしにどうして欲しいわけ?』 あいつ、何考えてあんなこと言い出したのかねえ。 あれ? そういやお願いの話って結局どうなったんだっけ。たしか俺が── すると、脱衣所のドアが開く音がして、風呂のすりガラス越しに人影が見えた。 その時、天啓のように昼間のやりとりが思い出された。 『背中でも流してくれればいいんじゃね?』 『なあに? それって一緒にお風呂に入りたいってこと?』 「げっ……! ま、まさか!」 しかし、俺の心配はすぐに取り越し苦労だと判明した。 「京介ー、桐乃まだしばらく入らないらしいから追い炊き消しといてー」 「……あ、ああ。わかったー」 脱衣所から聞こえて来たのはおふくろの声だった。 「ふう。これじゃ桐乃から変態よばわりされても言い返せねえな……」 まったく。最近の俺はどうかしてるぜ。 そんな混沌としだした思考を洗い流すかのように頭からお湯をかぶり、操作パネルの 自動追い炊きスイッチを切って風呂を出た。 その夜── 真夜中に誰かに起こされたと思ったら、いつぞやのように妹が、ベットの上で 俺に覆いかぶさるように四つんばいになっていた。 こういうことがあったのはこれで二度目。しかし、こんな事に慣れるはずもなく、 俺の心臓は前回にもましてバックンバックンいっていた。 前回と違って、妹はまだ私服のままでパジャマには着替えていない。 「こ、今回は何なんだよ……」 俺は努めて冷静にそう問いただす。慣れたわけじゃないが、何が起こってるかわからなかった前回に 比べれば、状況把握が出来ている分、落ち着いていられた。 「はあ? 何言ってんの? もう昼間の事忘れた?」 「昼間……?」 もしかして夕方の話か? 「そ。あんたから言ってきたんでしょ。……その、背中……流してくれって」 「いっ……!」 これぞまさに不意打ち。完全な時間差攻撃だった。 「で、でも……俺、もう風呂はいっちまったし」 ドギマギしながら、なんだか言い訳がましくそう答える俺。 「そ、そんなの別に関係ないでしょ! 身体きれいにするのが目的ってわけじゃないんだしさ」 は? 背中流すのに、それ以外の目的があるのか? まさか、いわゆる大人のマッサージ……!? 「兄妹仲を改善するためっつったじゃん」 ああ……そっちね……お、驚かすんじゃねーよ! 「で、でもなんでこんな夜中なんだよ!」 とりあえずなんでもいいから否定材料をぶつけてみる。 「相変わらずバカね。お母さんが起きてる時間に、二人でお風呂に入れるわけないでしょ? こないだ、 あんな事があったばかりなのに、学習能力はないわけ?」 そりゃ、こっちの台詞だっつーの! っていうか、やっぱ一緒に風呂はいるって話なんですね? 「ま……マジで、俺と……その、風呂に一緒にはいる気か?」 嘘にきまってんでしょ! きも~本気にしたわけ? そんな答えをちょっぴり期待しつつ聞いてみる。 「ハァ? 何言ってんの? そうしなきゃ、背中流せないじゃん」 うう……普通に答えやがったよ…… 「で、でもさ。お前、いやらしい願いごとはダメだって言ってたじゃねーか」 「何? あんたもしかして、いやらしい気持ちで背中流せって言ったの?」 「バ、バカ! んなわけねーだろっ!」 俺は大慌てで否定する。 「なら、いいじゃん。ほら、いつまでもぐずぐず言ってないでとっとと行くわよ」 そういって、俺の袖をひっぱって部屋から引きずり出す桐乃。 あ、あれえ? なんでこうなっちまうんだろ? 「んもう、何してんの? 早く脱ぎなさいよ」 結局、有無を言わせぬ勢いで脱衣所まで連れてこられてしまった。 「マ、マジで……?」 コクリ。桐乃は眉をひそめながらただうなづいた。 「……」 俺はじっと、そんな桐乃を見返した。 「なに?」 いや、おまえは脱がないのか? そう尋ねようかと思ったが、これじゃまるで俺が妹に服を脱ぐ事を強要してるかのようで、 言えなかった。ああ、そうか。桐乃は、自分は服を脱がずに、ただ、風呂場に入ってきて俺の背中を流すだけのつもりなのかもな。 考えたら、あたりまえじゃね? もともと俺もそのつもりだったんじゃねえか。夜中にこそこそするから、変な勘違いしちまったよ。 「もう、いつまでぐずぐずしてんの!?」 「わ、わかったよ」 これはもう、何もせずに終わるってわけにはいきそうにない。それならとっとと言うとおりにして、 一刻も早く終わらせるのが得策ってものさ。とはいえ…… 「おい……」 「なに?」 「そう、じろじろ見ないでくれるか? 脱ぎにくいぞ」 「は? 兄妹で何恥ずかしがってんの?」 そういうもんじゃねえだろ。……とは言えない。兄妹なんだから裸みられたってどうってことないとは、 以前、事故で桐乃の裸……っていうより、あれはナニだが……を見てしまった時に俺が言い訳に使った 言葉だからである。くそう。でもコイツだったら、そんな事気にせず「それはそれ」とか言って開き直るんだろうなあ。 結局、俺は桐乃ににらまれながら服を全部脱ぐと大急ぎで風呂場へと飛び込んで磨りガラスのドアを閉める。 風呂は既に追い炊きされてあたためられていた。 俺は風呂場に備え付けられている自分用のナイロン製ボディタオルを腰に巻き、股間を覆い隠してバスチェアに座る。 「はあ~~」 と大きなため息をつき、深呼吸してからドアの方を見る。 すると、桐乃のシルエットが写り、手を胸元に持っていったかと思うと、ゆっくり服を脱ぎ始めた。 「げっ! あいつ、まさか……!」 風呂の暑さだけのせいではなく、顔、そして全身が燃えるように熱くなるのを自覚する。 今度は桐乃が手を腰のあたりにそえると、ストンとスカートが落ちる。シルエットだけだとほぼ全裸も同然である。 そして、ついに桐乃の手が最後の一枚を自らずりおろした。その一部始終を俺は視線を外す事なく見届けてしまった。 ガラリ。 磨りガラスのドアが開くとそこには一糸纏わぬ妹の姿ああった。 特にどこかを隠すでもなく堂々としている。 さっきまでガラスドア越しに桐乃の様子を伺ってた俺は、当然のごとく風呂場に入ってきた桐乃の姿を 凝視することになった。 初めてまともに見る、成長した妹の裸身── 湯煙の中に浮かび上がったそれは素直に美しいと感じられるモノだった。 均整の取れた、女性らしいやわらかみのある肉体。ナチュラルに胸のあたりを隠すように肩にかかる長い髪。 その髪の合間から覗く、やわらかそうな乳房ときれいな色の乳首。なんというか……エロ本とかのモデルと全然違う。 そして真っ白な腹部。へそから股間へのなだらかなラインが俺の本能を刺激する。 そして幼く閉じた性器と女らしい腰つきのアンバランス。細身のわりに肉付きのいい太もも── ゴクリ。 俺が生唾を飲み込むと、その音に反応したかのように、それまで静かに佇んでいた桐乃が、手で身体を隠す。 「こ、コラ! やらしい目でじろじろ見るな! 変態!」 顔を真っ赤にして桐乃が声を荒げる。とはいえ、おふくろを起こさないように絞った声なので迫力には欠ける。 「み、みてないって!」 が、俺への効果は十分。俺はあわてて妹に背中を向ける。 ついでに股間のテントも、桐乃の目から隠した。 それにしても。桐乃の奴、案の定、「兄妹なんだから」って言うさっきの自分の言葉なんて棚にあげやがったな。 とはいえ、それが理不尽だとは決して思わない。妹の裸と、俺なんかの裸は、確かに価値が全然違うものだ。 例えるなら──見せたら減りそうな感じ? 「じゃ、背中洗うから」 その平然とした桐乃の言葉で我に返る。そういや、俺のボディタオルは今、俺の股間にかぶさっている。 桐乃のやつどうやって洗うつもりだ? そんな風に思っていたら、ムニュと背中に柔らかい感触が。 「ひょっ!」 思わず上ずった声を上げる俺。 「……どう? 気持ちいいでしょ」 「あ、ああ……」 確かに気持ちいい。俺がいつもつかってるビニール製のボディタオルとは全然違うやわらかな感触。 こ、これはもしかして桐乃の……? 「今日は特別にあたしのボディタオルで洗ったげる。普段勝手に使ったらダメだかんね」 「つ、使わねえよ」 ゴシゴシ。うわあ、本当に気持ちいい。しかし、かつてここまで妹に優しくしてもらった事なんてあっただろうか。 普段は座布団ひとつ借りるのも一苦労なのに、これってこいつとしては破格のサービスなんじゃねえか? いつも酷い目にあってるのなんて、すっかり許せる気分だ。 なんか泣きたくなってきた。 ん? ま、まてよ。この気持ち。 幼い頃にも感じた事があるような……もしかしてこれって…… 「ジャイアン効果か!?」 「……ハァ? いきなり何?」 うわ、思わず声に出しちまった。 みんなもわかるよな、この感覚。普段、ひでェ事ばかりしてる奴ほど、ちょっと優しいところや いいところを見せられると、何倍も良く見えるという…… ちょうど子供の頃よく見た映画版ドラえもんの、かっこいいジャイアンみたいな感じ。 「い、いや何でもねえ」 正直に言ったら、ぶっとばされること請け合いだ。 「もう、夜中なんだから急に奇声上げるのやめてよね」 ゴシゴシ。桐乃の手は、力強く、しかしゆっくりと時間をかけて俺の背中をなぞって行く。 なんだかなあ、このやすらぐ感覚。まるで麻奈美と一緒にいるみたいだ。 まさか、桐乃と居て、こんな気分になるなんてな── 「あんたさ。このあたしがここまでやってるんだから、死ぬほど感謝しないさいよね─」 ああ、こういう余計な一言さえなきゃなあ。 「あ、少しお湯かけるから」 そう言って、桐乃が身を乗り出して洗面器でお湯をすくうと、俺の目の端で妹の乳房がぷるんと小さく揺れる。 「……っ!!」 そうだ、こいつ裸だったんだ! 改めてそう意識すると、さっきまでの安らぎ気分はどこかにふっとび、 再び顔と股間がカッカと熱く燃えはじめる。 だめだ、このままじゃ場がもたねえ! そう思った俺は、桐乃にどうでもいい話を向けようと声をかけた。 「あ、あのさ。おまえって、特別な石鹸とか使ってんのか?」 「ん~。特別かどうかわかんないけど、まあ、ちょっと高めの自分専用の奴使ってるよ。日焼けとかしすぎると困るし」 お、いい感じ。これぞ世間話って感じだ。 「なるほど、どうりで部活とかしてるわりに……」 きれいな肌してる、といいかけてやめる。なんか変な解釈されそうだしな。 しかし桐乃は俺の飲み込んだ言葉を予測したかのように言った。 「……ちょっと、変な目で見るのやめてよね」 ほら、やっぱりそんな解釈しやがるんだ、こいつは。 「へ、変な目でなんか見てねえよ」 思わず声がうわずる俺。 「嘘ばっか。さっきだって、私の裸、やらしい目で嘗め回すように見てたじゃん」 「や、やらしい目でなんて見てねえって!」 「嘘。じーっと見てた」 「あれは……びっくりして、つい、ちょっと見いっちゃっただけだろ」 「夜のオカズにしようと思って?」 「違うわ!」 こいつは~……最近、すぐにそういう事言い出しやがって。マセガキめ! 「ま、あんたが見とれるのもわからないでもないけどね~」 くっ……! 相変わらず、自信満々だな、オイ。自信過剰ってわけじゃないところが、さらに頭にくるぜ! 「……何言ってやがる。妹になんか見とれるわけねえだろ?」 腹が立つから断固否定する。 「……」 突然の沈黙。 しばらくして桐乃が、それまでの明るい声から一転、急に悲しそうな声を出す。 「……そっ……か……」 お、おい。急になんだよ。 「これでも一生懸命がんばってんだけどな……あたしって、そんなに魅力ないかな……」 「い、いや。そ、そんなに落ち込む事ねえだろ?」 おまえらしくねえぞ? 「だって、あたし読モだよ? 水着になったりもするんだよ? 裸みられて魅力ないとか言われたら、そりゃ落ち込むって……」 うわあ。こいつ、こんなに打たれ弱いやつだっけ? あれか? これもモデルとしてのプロ意識ゆえの事なのか? くそ……こういう時は、きっちり顔を見れないのがもどかしいぜ。 「ち、違うって。あくまで、俺はおまえの兄貴だからだろ。それに魅力ないなんて一言も言ってねえだろ?」 「いいよ。慰められたら余計、みじめじゃん……」 ああ、もう! この妹は、本当に手がかかるなあ! 「お、おまえがやらしい目で見るとか言うからだろ! ちゃんと魅力的だから安心しろ、バカ!」 「魅力的って……? どんな風に……?」 「ど、どんな風にって……」 俺が口ごもると桐乃がまた暗い声で言う。 「ほら、テキトー言ってごまかしてるだけじゃん……」 「ああ、えっと。き……キレイだったって! あと、すごく色っぽかった!」 くそ……なんで、妹にこんな事言わなきゃなんないんだよ…… 「もっと、具体的に言ってくれないと信じらんない……」 なぬっ!? ……クソっ! もう、ヤケだっ! 「え、えーと。白い肌がキレイで、体のラインもすんげー、女らしくって。でもって……」 ああっ! いったい、これはどういう羞恥プレイだよっ! そろそろ納得しやがれっ! 「……プッ……ククッ……」 ん? な、なんだ? 「ククッ……あ、あんた。やっぱり、すっごい見入ってたんじゃん! ……ハッ、アハハッ……うぷぷ」 声を噛み殺しながら笑いころげてるらしい桐乃。ま、まさかコイツ……また…… 「し、しかも、妹にキレイだとか色っぽいとか……ククッ……あんた、シスコンもたいがいにすればあ?」 「き、桐乃てめぇっ! また、ひっかけやがったな!」 俺はそう叫んでおもむろに振り向く。 顔を真っ赤にしてニヤニヤ笑いを噛み殺す桐乃の姿が視界に入ったかと思うと…… バシッ! 泡だらけのボディタオルが俺の顔を直撃する。 「わぷっ! 目に泡が、目にっ!」 「み、見るなっ! あと、でかい声だすなっ……! お母さんが起きたらどうする気!?」 「くぅ~……!」 もう、なにもかもが理不尽だろっ! 「ま、正直に見とれてましたって言えば、今日は特別に許してあげるからさ」 悔しさとタオルの泡のせいで、目をしばたかせる俺を無視して勝手な事をほざきつつ 再びマイペースに俺の背中を流し始める桐乃。 「うう……」 くそっ! 三つも下の妹にこうも軽くからかわれるとは! ……まあ、いつもの事と言えばいつもの事だが、それがなおさら情けねえぜ。 ここは兄として毅然とした態度で言い訳しなければ。 「ち、違うぞ。別におまえに見とれてたわけじゃねえよ。ほら、馬子にも衣装って言うじゃねえか。単にそんだけの事だよ」 「あたし、いま素っ裸なんだけど?」 そうでした。 「なに? あたしは裸が一番いいって意味?」 「ち、違うって!」 「もしかしてあんたの頭の中じゃ、あたしって常に全裸だったわけ? 本気で変態ね、あんた」 「そんなわけねえだろっ!」 常に妹の裸を想像してる兄とか、気持ち悪すぎるわ! 「今のはちょっと、口がすべっただけ!」 「口がすべるってことは日ごろからそう思ってる証拠」 「勝手な証拠認定すんな!」 とは言ったものの、その言葉はある意味で俺の痛いところをついていた。 裸云々は別として、からかわれてるとも気づかずに、妹の容姿を不覚にも褒めちまった事。 確かに俺が、妹の事を可愛いとか美人とか思ったのは今にはじまったことじゃねえんだよな。 こいつの事をずっと無視し続けてた時だって、こいつの事を心からウザイと思ってた時だって、見てくれだけはずっと可愛いと思ってたんだし。 ただ、それを素直に口にしてやるには、おまえが今まであまりに憎らしかっただけだよ。 そして、さっき俺がペラペラとお前を褒めちぎっちまったのは…… たぶん、今夜のお前はそれを素直に口にしてやってもいいくらいには、可愛いかったってことなんだろうよ。 もちろん、全てジャイアン効果による錯覚だけどな! 「……はい。もっかいお湯かけるから」 俺の葛藤をよそに、妹は淡々と背中を流す作業を続ける。 「あ、さっきみたいに、私の胸、盗み見るのやめてよね」 「ばっ! バカ言うな。そんなことしてねえよ!」 そういって、湯を汲むために乗り出してくる妹と、逆方向に顔を向ける。 ザバァ。ゴシゴシ。 それにしても桐乃の背中の流し方は、非常に丁寧だ。なんというか、すごく愛情がこもってるというか。 まあ、本当に愛情が込められてるわけじゃなく、こいつの器用さと完ぺき主義の賜物なんだろうけどさ…… そうはわかっていても、この快感の前には、こいつの事を全くいとおしく思わない……ってわけにはいかない。 はぁ。俺が昔、親父の背中流したときもこんな感じだったのかねえ。もっとも俺の流し方が、 これほど上手だったとは思えないけどさ。 「はい、おしまい」 桐乃は最後にもう一度お湯をかけてそう宣言した。 正直、もう終わるというのが──そしておそらくは二度とないだろうってことが──残念だった。 「あ、ありがとうよ。すげえ気持ち良かった」 俺は心からの礼を述べる。ちょっとした騒ぎはあったものの、本当に良い気分にさせてもらったひとときだった。 「そ、そう……」 お互い、顔を合わせずそんな会話をする。どんな表情してんだろな、桐乃の奴。 見てみたいが、なんだか恥ずかしくって見れずにいると…… 「くちゅん」 桐乃が小さくクシャミをした。 「大丈夫か、湯船につかれよ」 「う、うん……」 桐乃が俺の左脇を通って湯船へ向かう。俺は視線を右にそらし、そのまま回れ右で 湯船にポチャンとつかる桐乃とすれ違いに風呂場を出ていこうとする。 しかし、後ろから妹の声がして俺をひきとめた。 「ちょっと、どこ行く気?」 「どこって……もう背中流してもらったから」 「ば、バカじゃない? まだ全然、兄妹仲改善してないじゃん」 そ、そうかな? 俺としては十分、当初の目的は達成できたと思ったんだが…… そんな気持ちを俺がとっさに言葉にできず、ただ黙っていると桐乃が再び口を開いた。 「あ……あんたも、とっとと湯船につかりなさいよ」 不機嫌そうにそう言う桐乃。 「え? さ、さすがに、それは無理じゃね?」 うちの湯船はそんなに広くない。 少なくとも身体を密着させずに二人で入るのは無理だ。 「……抱っこ」 桐乃がぽつりと、スネた子供のようにそう言った。 「え?」 あまりに桐乃らしくない言葉に思わずそう聞き返す。 すると今度は実に桐乃らしいトゲトゲした言い方で答えた。 「あったま悪いなあ。あんたがあたしを抱っこするみたいに入れば大丈夫でしょ」 「いっ!? いや、それはマズイって」 色んな意味で! 「何がマズイの? いいから早く。それともあんた自分の言う事はきかせておいて、 あたしの言う事はきけないとでも?」 「いや、そうは言うけどさ……」 そんな風に早口でまくし立てる桐乃に対し、俺は変わらず歯切れが悪い。 だってよ……抱きかかえるようにするってことは俺の股間が桐乃の背中とか尻のあたりに あたる事になるわけで…… 「別に、勃起してるのとか気にしないから。……早く」 うげ。しっかり気づかれてたよ! 「わ、わかったよ……」 この流れになるともはや逆らえない。俺は素直に桐乃の言葉に従う。だって勃起してる事、追及されたくねえし…… 「し、失礼しまあ~す……」 そういって桐乃の背中側にまわるようにして湯船に入る。桐乃の素肌に足が触れる。 桐乃はスペースを空けるように前傾姿勢で顔もうつむいたままなので表情は見えないが、耳が赤くなってる気もする。 照れくさい……のか? それともお湯が熱いだけ? 「んしょ」 腰を下ろす俺。とうぜん俺の勃起したままのイチモツが桐乃の背中に…… ぴと。 「ひゃんっ!」 「ご、ごめ!」 桐乃が色っぽい声をあげる。俺は思わずかがみかけた腰を浮かせて立ち上がる。 「……い、いいから。余計なこと気にせず、とっとと座って」 「あ、ああ……」 再び腰を下ろす。ツツツツツ……俺は竿の裏の部分で桐乃の背中をなぞるようにして腰を下ろした。いや、あくまで不可抗力だよ? 「~~~~!」 桐乃は声にならない声を挙げる。よほど気持ち悪いんだろーな。 そう思うと、俺は日ごろの恨みというか、悪戯ごころというか、わざと亀頭や裏筋を桐乃の背中に強くおしつけたりしてしまう。 うわっは! こりゃ気持ちいいわ。征服感って奴か? 肌もすっげー、つるつるもちもちだし! な、なんか興奮してきた! 「は、あぁん」 ついに桐乃が声をあげる。やべえ、本当になんて色っぽい声を出しやがるんだ、こいつ…… ていうか、俺、かなり人間としてヤバイ事してたんでは……? 我にかえり、いろいろと自分に危険を感じた俺は、素直に腰を下ろした。 「……ちゃ、ちゃんと入った?」 「お、おう」 湯船につかりおわった俺がそう答えると、桐乃はふわりと俺に体重を預けてきた。 「はふう……」 桐乃の吐息。濡れた髪の毛が張り付いたうなじや肩の線がやけに色っぽい。 これまで女の色気ってのは胸とか尻とか太ももにあるもんだと思ってたけど……なんか、少し大人になった気分だ。 もっとも、中学生の妹に色気を感じて、大人気分も無いかもだけどさ。 「ね、ねえ」 「あん?」 「ず、随分落ち着いてるじゃん」 桐乃が少しばかり不満そうにそう言う。なるほど、やっぱりコイツ、俺をからかうつもりでこんな事を…… だとしたら残念だったな。なんかこうやって湯船に浸かってみると、変な気持ちはほとんどふっとんじまった。 なんだか、体だけでなく気持ちまで暖かくなるっていうか……さ。 「ま、あっちはあんまり落ち着いてないみたいだけどさー おしりにコツコツあたってウザいんですけどー」 「うぐ……」 ま、まあ、それとこれとは別問題っていうか……仕方ないじゃん! 妹とはいえ、裸の女の背中が目の前にあるだけでなく、密着してんだしよ! それにおまえ、さっき勃起してても気にしないって言わなかったか? この嘘つきが! 「なーに? あんた、落ち込んでんの? まあ、いーじゃん。特別に誰にも言わないであげるからさ」 桐乃はそういいながらクスクスと笑う。その笑い声に、俺の風呂にのぼせかけた頭は一瞬で冷やされちまった。 ……くそっ。頭と同じように、股間もおさまってくれればいいのになあ。 しかし──今の桐乃の笑顔は……ここからだとかろうじて横顔が見えるくらいだが、なんというか…… 本当に可愛い。いつか見た幻のような、これが本当に俺の妹なのかと言うような笑顔がそこにあった。 この笑顔のためなら、どんなことだってしてやる──俺以外のほとんどの男はそんな風に思うんじゃないだろうか。 それとも、これは兄の欲目って奴か? だとしたら、俺も本当にシスコンだってことになるのかねえ? 「……どうしたの? さっきから黙っちゃてさ」 「い、いや別に」 「……」 桐乃はチラリチラリと俺の方を伺うようにする。何かを言いたそうな感じだ。口ごもるとか、こいつらしくねえな。 「なんだよ?」 促すと、ようやく桐乃は言葉を紡いだ。 「ねえ……あんたさー。もしかしてあたしのこと……好き……だったりするワケ?」 「は、はあ!?」 な、何を言い出すんだ! コイツはいきなり。 「べ、別に。あんたがあたしの事、どう思ってようが、あたしには関係ないけどさー……」 口をとんがらせてスネるような言い方。ただ、その問いかけには、今夜のこのイベントの意味が 全て含まれているようにも思えた。 だから、俺もその問いに真剣に答える。 「ええと……わからねえ」 沈黙。俺のその答えに桐乃からは何の反応も返ってこなかった。 あらためていうまでもなく、このイベントは兄妹仲を改善しようってイベントだ。 そして桐乃のやつは、桐乃なりに一生懸命その目的を達成しようと頑張ってた……ように思う。 ま、こいつがなんでそんな気になったかは、さっぱりわかんねえけどさ。 単にからかおうとしたのが成り行きでそうなったのかも知れないし。 それでも……そんな妹に対して、俺の答えはあんまりだったと、我ながら思う。思うんだが── 「い、いやお前の事、考えるとなんか頭の中がぐちゃぐちゃになるっていうか、俺もよくわかんなくて……」 だめだ。どう言い訳しても、俺が悪い。『好きに決まってるだろ、兄妹なんだから』とでも言えば、きっと桐乃は満足したはずで、 今夜のこのイベントも大成功でおしまいになって、明日からはもしかすると、これまでより少しはマシな兄妹関係が築けたかもしれなかった。 しかし、それを俺の答えがぶちこわしちまったんだ。しかも、俺はその言葉をうまく取り繕う事さえ出来ない。 我ながら、どうしようもねえ兄貴だぜ、まったく。 そんな自己嫌悪に陥ってる俺に、桐乃から追い討ちをかけるような言葉が返ってきた。 「それって……結局、嫌いってことじゃん?」 スネるような声でそういう桐乃。 「そ、そんなこと言ってないだろ! 勝手に解釈すんな!」 今度は素直に言葉が出た。そして言葉を放ったあとで、ふと思い悩む。 あ、あれ? 俺は普段、妹を『嫌い』だから、あんな返答をしたんじゃなかったのか? 「……じゃあ、好きなワケ?」 「いや、そうとも言ってない」 「……ん~~」 うわ、すげぇ、睨まれてる。とりあえずいつもみたく迎合しておいた方がいいんじゃねえのか、俺。 ……しかし、なぜか、この点に関してはいつものように迎合する気になれなかった。 まあ、そりゃそうだよな。あんだけの仕打ちされて好きだとか、シスコンどころかドMのド変態だって! 「……ぷっ」 突然、桐乃が小さく吹き出す。 「あは。結局、あんた、本当にわかんないんだ」 「わ、悪ィかよ……」 俺は、非常にバツの悪い気持ちでそう返答する。 「でも、嫌いじゃ……ないんだ?」 「た、たぶんな」 さすがにここは一応──ほんとうに一応だが──肯定しておく。 「そっか。……うん。そっか。ふうん……」 桐乃はそんな俺の言葉にもそれなりに満足そうに頷く。 そういえば、俺がはじめて桐乃のオタク趣味を知り、それを肯定してやったときもこんな感じで頷いてたっけ。 そして桐乃はちらりと俺の方を振り返る。 「……あのさ、あたしもたぶん……最近のあんたは、嫌いじゃ、ない……カモ」 妹からそんな有難い言葉が返ってくる。 「ほ、ほんとかよ。また俺をからかってるんじゃねえの?」 俺はこの照れくさい空気から脱しようとそんな事を言ってみた。しかし桐乃は大きくため息をつく。 「バカじゃん……それくらい空気読むっつーの」 はは。確かに、俺、空気読めてないかもな…… 「……も……からかったわけじゃ……ないしィ」 口をとがらせて、まだぶつぶつ言っている桐乃。わかったって。信じるよ。 チャプン そんな会話の後、しばし流れる、なんとなく甘い沈黙── それを破ったのは桐乃だった。 「ところでさー」 いきなり桐乃がいつものトーンでしゃべりだした。 「あんたって、結構、絶倫? 全然、さっきから萎えないじゃん?」 「……ぐぅ!?」 絶倫って! せっかくのいい雰囲気が台無しだ! そもそも、おまえの尻や背中がずっと密着してんだもん。萎えるわけねえじゃん! そんな俺の心の声が聞こえたわけはないのだろうが、桐乃が的を射た事を言う。 「ねえ。それってさー。私のせい、なんだよね~?」 くっ……なんだか愉快そうにいいやがって。やっぱりこうしてシスコンネタを増やすのが目的だったのか!? 「そ、そうかな? そんな気もしないでもないけど、実は全然違う可能性も考慮すべきかと……」 「……ハァ? 何を言ってんのか、わけわかんないんだけど」 俺だって、自分で何言ってるかわかんねーよ! ああっ、なんだろう。急に恥ずかしくなってきちまった。おそらく桐乃の調子が普段どおりに戻っちまったからだと思うが…… 「い、いやあ、参ったなー。じゃ、俺、そろそろのぼせて来たから上がるな」 ザバン。 なんだかいたたまれなくなって湯船を飛び出すと、ドアの前でギュッと手首をつかまれた。 振り返ると、同じように湯船から出てきた桐乃の裸身が目にはいる。 全身から滴り落ちる雫が、さっき見た時より数倍桐乃を美しく、色っぽくしていた。 「うわっ……!」 はっきりって今の俺には目の毒以外の何でもない。 俺はあわてて目をそらすも、桐乃に握られた手を振り解くことはせずその場に留まった。 すると桐乃がはにかむように言う。 「あのさ、どうしてもって言うなら? その、パクってしてあげても……いいんだケド?」 「パ、パクッ?」 「だって、それ……どうにかして、欲しいでしょ」 そ、そりゃして欲しいけど、それは絶対にだめだ! 「い、いいから! いらないから! お先!」 とにかくここは逃げるしかない。 「ちょ、ちょっと!……ひゃっ!」 「ぬわっ!?」 桐乃に手をつかまれたまま強引に風呂場から出ようとして、足を滑らせる。 それにつられて、桐乃が俺の方に飛び込んできた。 ゴチッ! 「きゃあっ!」 「痛テェ!」 桐乃と頭をぶつけ合うわ、ひじや腰を風呂場のタイルにぶつけるわであちこち痛めてしまう。 チカチカしてる目が元に戻ると、俺に桐乃がまたがる形になっていた。 どうやら俺がクッションになったおかげで、俺とぶつけあった頭以外、痛めてはいないようだ。 その点は良かったのだが、クッションにされているるポジションにいささか問題があった。 桐乃がまたがっていたのは、ちょうど俺の股間のあたり。 しかも俺の肉棒が反り返るべき本来の方向と逆の向きに折り曲げられた状態で桐乃に座布団にされていた。 「ひいっ……!」 あわてて体をずらすと、ちょうど桐乃の股の下から開放された俺の亀頭が、桐乃の膣内に侵入せんと力強く反り返る。 「い、イヤッ!」 しかし固く閉ざされたた桐乃の性器は俺のギンギンにスーパーサイヤ人化した息子の侵入を拒んだ。 結果、それは、ワレ目を滑走するようにして反り返り、 最後にぷっくりとした桐乃の突起をピシッとはじくようにして俺のヘソの方へと戻ってくる。 「ああんっ……やぁぁん!!」 その刺激に桐乃が、思い切り色っぽい声を上げる。俺の理性の壁はもはや決壊寸前だった。 「わ、ワリヒィッ!」 声をひっくり返しつつ、最後に残された理性と力をふりしぼり、四つんばいでドタバタと風呂場を飛び出し、 衣服をそのまま手にとって全裸のまま廊下や階段を水浸しにしつつ自分の部屋へと逃げ帰った。 「ハァ、ハァ、ハァ」 ──その夜、俺は初めて、妹をオカズにした。 次の日。 最悪な自己嫌悪と共に目覚めた俺は、気まずい気持ちでリビングに向かう。 「……おはよ」 いつものように気の入ってない挨拶を飛ばすと、親父とおふくろから返事が返る。 「ああ、おはよう」 「おはよ京介。あら、今日は早いわね」 「……」 今朝は桐乃もいる。しかし、桐乃からの返事はない。ぶすっとした表情で、俺の方を目だけ動かしてちら見しただけ。 うーん。いつもなら親父たちの手前か、嫌そうにでも形式だけの返事は返してくるのだが。 ま、いつもと言っても、うちの妹は忙しいので朝に顔を合わせる機会自体少ないんだけどな。 しかし、昨夜のアレはいったいなんだったんだろう。一夜あけると、昨夜の出来事は夢だったんじゃないかと思えた。 この愛想の悪い妹と、一緒に仲良く(?)風呂にはいっていろいろ語り合ったとか……あと、その、なんだ…… うーん、迫害されすぎてタチの悪い妄想でも見るようになったんじゃないかと自分を疑っちまうぜ。 俺は桐乃に対する気まずさをごまかすように、親父たちに話かける。 「……あれ? 親父、昨日は泊まりこみって言ってなかったっけ?」 「ついさっき、帰ってらしたばかりなのよ」 おふくろが親父の代わりに答える。まあ、予想通りの答えだった。 それなら寝てればいいのにと思うのだが、普段忙しいだけに、 食事など家族が一同に介するこういう機会は出来るだけ大事にするのが うちの親父の主義なのだ。 しかし、家族団欒を願う親父の気持ちと裏腹に、俺はいつにもましてきまずい思いでテーブルに近づく。 すると近づいてきた俺から逃げるように、 桐乃がしかめっ面のまますっと席を立つ。 そしてテーブルの真ん中から食パンの袋を乱暴に手にとり、 オーブンレンジの前に立つと、妹は俺の方を振り返り言った。 「ねえ、食べるんならついでに焼くケド……?」 おふくろは珍しい物を見るような目で俺と桐乃を順番に見た。 親父は目を新聞におとしたまま、しかしかすかに笑みを浮かべて咳払いひとつ。 俺はというと、とまどいを隠しきれないまま…… 「じゃ、じゃあ一枚」と答えるのが精一杯だった。
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/134.html
http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1266820218/34-36 俺の幼馴染がこんなに不人気なわけがない それから日中の授業はどうにも集中できず時間だけが流れ、とうとう放課後となってしまった。普段から特別集中しているわけではないが、今日は授業中にいつ麻奈実が来てもウェルカムな対応が出来るよう身構えていたのだ。 と言っても、特別な対応が出来たわけでもなければ、それをしようとも思っていない。 ただ数日振りに、いつもと変わらぬ俺らの普通の会話をしようと考えていた。 たまたま同じ日から休んで、たまたま同じ日数だけ欠席し、たまたま同じ日に登校してきたとしても、お前はきっと「すごい偶然だよね~」と、ほんわかな微笑みを浮かべながら言って、その後はいつもと変わらぬ取り止めも無い会話が始まっている。 お互いに何で休んでたのか話して、きっとまた無茶な行動に出てた俺を麻奈実が笑い、きっといつもと変わらぬ他人からしたらどうでも良いようなことで休んでいたであろう麻奈実を俺が笑い、じゃあ今度授業を休んでいた間の穴を埋めるため勉強会を開こうと話をしていただろう。 それが俺と麻奈実のいつものパターン。きっと俺たちが死ぬまでこの穏やかな流れは変わらない。 一時間目からじゃなく授業の途中から遅刻でも良いから来てほしかったのだが、どうやら麻奈実は本日も欠席らしい。 休み時間には麻奈実の携帯に何度も連絡を入れたのだが電話が繋がる気配は無い。 帰りのホームルームの終了後担任をつかまえて聞いてみたところ、麻奈実の欠席理由は体調不良だそうだ。 うちの担任は朝の出欠確認で欠席者の名前は点呼するが理由まで皆に伝えることはしない。 なんだちくしょう、赤城の心配そうな表情は俺が家庭の事情で休んでいたからじゃなく、単純にお前の誇大妄想で俺と麻奈実の関係がどうなったかが気になって仕方が無かっただけかよ。俺の喜びと感動を返せコノヤロー! しかしながら、そうなると今日の放課後の予定を大幅に変更する必要がある。 もし麻奈実が途中からでも来てくれれば、放課後はゲーム研究会に顔を出すつもりだった。 俺の出来ることは黒猫と瀬菜の間に入って二人の創作物の小さな手伝いをするぐらいのことだが、ちゃんと入部届けを出している正式な部活なので、一応短期の休暇を取った後は顔を出しておくべきだろう。 だが麻奈実の欠席理由が体調不良となれば俺はそちらにも行かねばならない。ただでさえ日曜を挟んでまで学校を病欠するほどの風邪を引いたのに、俺は一回も麻奈実のお見舞いに行けていないのだから。 お見舞いに行けなかった理由が、アメリカに行っていたからなどというぶっ飛んだ内容であることを麻奈実は知らないし、なぜ来てくれないのだろうと不安になっているかもしれない。 まぁ麻奈実のことだから、お見舞いに行ったら行ったで「風邪がうつるから来なくて良かったのに~」と、俺に気をつかいっぱなしの状態になったかもしれんが。 正直なところ休み時間にかけた電話の返事がないのも気になる。ただの偶然なら良いが、電話に出る余裕も無いほど麻奈実が衰弱している可能性も捨てきれず心配で仕方無い。 もし本当にそうだったら、俺はアメリカの出発と同じタイミングで麻奈実を襲った間の悪い病原菌を全力で罵倒し、駆逐方法を模索しウィルスとの戦争に取り掛かるだろう。戦争だ、一心不乱の大戦争だ。 とにかくこうなれば麻奈実の家には何が何でも行かねばなるまい。 だがゲーム研究会の方も何らかの挨拶だけはしておこうかとも考えている。 はてさてどうしたものか。 麻奈実が気になるので一秒でも早くどちらかの行動に移りたいのだが。 そんなことを考えながら教室の机で帰りの支度をしていたとき、俺はふと誰かの視線を強く感じた気がした。 なんだこれは……背中にひしひしと伝わってくるこの熱視線。まさか俺のマイ・スイート・エンジェル・あやせたんがわざわざお疲れの俺を癒しにきてくれたのか! よっしゃあやせたんが癒してくれれば、桐乃のどんな命令だって全力全開で取り組めるぐらいまで体力が回復するぜフヒッサー!! などと実にくだらない寸劇を頭の中で繰り広げながら、ふと視線を感じた教室の後ろのトビラの方に振り向いてみると、そこには俺の方をうつむき加減のジト目で睨んでいる黒猫の姿があった。 「…………よう」 「…………っ」 黒猫と俺の目と目が合う。俺がゆっくりと片手をあげて挨拶する。一瞬の間を置いて、黒猫が顔を赤らめながらぷいっとそっぽを向いてしまった。 ぬわー。これは……俺は一体どう対応すれば良いのだろう。黒猫の例の『呪い』を受けてからこうしてあいつと直に会うのは、空港でやつが桐乃の帰りを待ちわびていた昨日を加えて二回目だ。 しかし昨日は桐乃の帰国ということもあってそれどころではなかったが、今こうして冷静に対峙してみると何とも言えぬ恥ずかしさがこみ上げてくる。 そこ、ヒューヒューだの何だの囃し立てるんじゃねぇ! ……えぇ? 誰も何も言ってないって? ……こらそっちの傍聴席! 黒猫フラグキタコレとか言って盛り上がるんじゃない! ……はい? みんな静かにしてるだと? …………だぁぁぁぁぁああああああああああああああ! 何か言えよ盛り上がれよ騒ぎ踊り狂えよ! そんな固唾をのんで見守るんじゃねぇ! 冷やかされるより恥ずかしいじゃねぇかゴラァ!! くっ……し、しかしだな。こ、ここはお、俺が勇気を出す場面だろうよ。そうだ、まったくもってそうだ。 平穏な日々を暮らす平凡な一男子高校生に、あんな厄介な『呪い』なんてかけてくれやがってよう。俺がへこたれたら身体中から出血する『呪い』だと? 怖くて怖くて即日アメリカ行きだったんだぞ。 そんな悪いことする猫には俺からしっかりとしたしつけが必要だ。 机の中にあった残りの教科書を無造作に学生カバンへ詰め込むと、俺は威勢よく闊歩して黒猫の眼前に立つ。 ああちくしょう、勢いよく近づいてきた俺に対してビクッと震えるあたかも子猫のような姿が可愛いぜ。一気に俺の心にあった勇気が吹き飛んでって、残ったのは緊張だけじゃねぇか。 「……ぉ、おぃクゥロネコォ」 「な、なにかしら……」 おうおうおう。いつも言いなれてる黒猫のイントネーションすらおかしくなってるぜ。 まるでとある警部をおちゃらけて呼ぶときの大怪盗三世のようだぜとっつぁ~ん。 黒猫のやつはいつもの低い声を頑張って出しているが、明らかに逸らしたままの視線が泳いでやがる。 「……いや、あのな」 「…………」 だぁくそ二の句がでねぇ! 当たって砕けたとはまさにこのことか! せっかく勇気だして踏み出した一歩も、踏みしめた先に1ミリも隙間無く地雷が埋められてたんじゃ意味が無い。 もはやそれは地雷原じゃなくて単なる地下爆薬庫だからね! 情けなくも俺が何も言えないこの状況を打開してくれたのは、実に可愛いらしい俺の後輩であった。 「の、呪いは……解けたわ、先輩。に、人間風情のくせに、なかなかやるじゃない……」 「お、おう……それぐらい当たり前だっつの」 「そ、そうね。ここはお見事とだけ言っておくわ。素直に喜びなさい」 「お、おう……フ、ヒッ、……フヒヒッて高笑いしといてやるぜ」 「ちょ、調子にのるんじゃないわよ! ……た、ただ一つだけ言っておきたいことがあるのだわ。その……せ、先輩には、今日部活に来てもらうと困るの」 「……えっと、そ、そりゃどういうことだ?」 「の、呪いの影響なのだわ。そ、そのせいで……と、とうぶん先輩と、普通に話すことができないの。だ、だから……部活のときいろいろとまずいわけ」 「……そ、そっか。それはまずいな。その影響とやらが無くならないとまずそうだな、うん。そういやさっきからやけに話づらいと思ったら、それが原因か」 「えぇそう、そうなのよ。で、でも明日ぐらいには、というか明日までには何とかなるよう今夜儀式をするから! だ、だから明日まで部活に来るのは待ってほしいの……。部長には私の方からうまく言っておくから」 「わ、わかったぜ。……じゃ、じゃあまた明日な」 「え、えぇ……また明日」 そう言いきると、黒猫はいじらしくも何かに驚いた猫のように素早く身を翻して廊下を走り去っていった。 さて、先ほどの恐ろしく無駄の多い文章をものっそい手短に要約するとしよう。 まだ恥ずかしくてお互いに話すのも間々ならないし、一日だけど日を置いてからじゃないと目も合わせられません。だから今日は部活に来ないで下さい。 うん、おそろしく簡潔にまとまった。実に的確な要約だ。 そうとなれば後腐れも無く麻奈実のお見舞いに行けるってもんだ。 あぁもう駄目だ、ここ最近こういった普通じゃないことの連続で、俺の身体は思わずオンドゥル語が飛び出してしまいそうなほどボドボドダ! やっぱし俺は普通が良い。あぁ、ますます麻奈実が恋しくなってきたぜ。 やれやれ。この調子で麻奈実の家に行ったら、逆に俺が疲れを癒されることになりそうだ。 一秒でも早くお前の顔が見たいぜ。出来れば風邪でうなされた寝顔ではなく、ほとんど治りかけの穏やかな顔で居てくれよ。
https://w.atwiki.jp/orbit-core/pages/13.html
攻略の前に ファナティカは一般的なアドベンチャーゲームとは異なり、プレイヤーが選択肢を得選んでいくことによってエンディングを分岐させていくタイプの作品ではありません。 ルート・エンディングは、作品中何度か訪れる「ジャッジポイント」で「蜘蛛」と「蝶」のどちらのジャッジアイコンを選択しているかによって分岐します。 「蜘蛛」のジャッジアイコンは「蜘蛛の与える悦楽と狂気の運命」を、「蝶」のジャッジアイコン「蜘蛛に抗う蝶の運命」を象徴しており、クリックすることで「蜘蛛」モードと「蝶」モードを切り替えることができます。 また、プレイ中にアイコンが一定時間淡い光とともに点滅することがあります。 このときは、アイコンをクリックすることで別時間軸上の、すなわち過去や未来のエピソードを見ることができます。 そのため、スキップなどでジャッジポイントを通りすぎてしまうと、攻略に大きな支障が出ることが考えられます。 そのため、下記の対策を施すことをおすすめします。 対策: CONFIG(設定画面)で「ジャッジポイントスキップ」をOFFにしておきましょう。 また、未読部分を読み飛ばさないために「既読のみスキップ」をONにしておくことをおすすめします。
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/351.html
http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1293190574/101-104 すごく眠かった。 桐乃に無理矢理押し付けられた妹エロゲのCGフルコンプをしていたせいで徹夜したせいで、いつの間にか寝てしまっていたみたいだ。 なぜか、とても寒い。 でも、胸の上だけが熱い。 とても熱くて、いい匂いがする。 いい匂い。 うん。これはいい匂いだ。 柔らかくて、暖かくて、とてもいい匂い。 なんだろう。嗅いでいるとドキドキするような匂いだ。 暖かくて、すべすべしてて。 すべすべ?におい? 薄く目を開けると、そこには黒猫が――いつものカッコじゃないけど、俺の上に覆いかぶさってて。 「目を覚ましたの?…平凡な人間風情が」 そんなことを言ってる黒猫はいつものゴスっぽいヒラヒラのついた黒い服じゃなくて、なんだか肩出しの服…っていうか、 スク水の上にマントを羽織ったヘンなカッコで俺の上に覆いかぶさってる。 「くろ・・・猫?」 「違うわ。今の私は夜の眷属。黒猫などではない」 そう言って無表情に俺のことを見る黒猫。 俺の身体の上にぺたんと胸をつけて寝そべる。っていうか顔近い。 窓の外は紫色で、今が朝なのか夕方なのかわからない。 そんな俺のすぐ目の前にある黒猫の顔。 透き通るような白い色は、薄暗い部屋の中でもほのかに輝いていて。 真っ黒な夜の色の髪は、俺の上から垂れ下がっててとてもいい匂いをさせてる。 シャンプーの匂いがする。 それと、ほのかな汗のにおい。柑橘系の女の子の匂いだ。 桐乃がつけてるようなコスメコスメした匂いじゃなくて、女の子っぽい匂い。 とかいうと桐乃にキモイとか言われるんだろうな。 そんなことを考えながら、俺は黒猫の髪を手に取りくんくんと匂いを嗅いでみる。やっぱいい匂いだ。 サラサラとした髪の毛の感触は夢じゃないけど、でも黒猫がこんな風に抱きついてくるなんてのはありえないしなあ。 夢かも。 うん。夢でいいんだったらいろいろしたかったことをしてもいいのかもしんない。 「そう。これは夢よ。だからあなたはしたいと思ったことをなんでもしても構わないわ。夢なのですもの」 そう言う黒猫の息の匂いも(ちょっとくすぐったいようなほのかに甘いにおいがした)夢じゃないと思うんだけど、 そもそも黒猫がこんなカッコで俺に抱きついてるのなんて夢以外のなにものでもないわけで。 ん? 凹凸に乏しいと思ってたけど、こうして密着してみると結構なにげに全然ないわけじゃないんだな。 「…私に魅了されたのかしら。やはり人間の雄は単純な生き物ね」 そう言う黒猫を半ば抱きしめるようにしてその体を撫で回す。 「…くっ…ふぅっ…」 なにかをこらえてるみたいな黒猫の声。なんだかすごく可愛い。 薄暗がりの中で、そんな黒猫はまるで夢みたいで。 夢だったら悲しいな、と思った俺はその細い身体を抱きしめていた。 その身体はとても柔らかくて、肩や背中なんてすべすべで。 「黒猫は可愛いな」 耳元でそう囁くと、ふるっ、と小さく身体を震わせる黒猫。 すごく可愛い。キスしたいな。 「兄さん…本気なの?」 俺の腕の中でふるふると震え始める黒猫の身体。 うん。寒いしな。こんなに寒いんだったら俺が暖めてやるか。 別に黒猫の肌がつるつるでふにふにで触っていると楽しいからってわけじゃない。 これ夢だしな。 だから、いつもはしたくてもできないことをしてもいいんだ。うん。 「黒猫はいい匂いするし、柔らかくて可愛いし、黒猫が俺の妹だったらよかったのにな」 「……だめよ」 「ダメなのか」 ちょっとだけ残念だ。 「ええ。兄さんがもし血の繋がった兄さんだとしたら、こんなことできないじゃない」 黒猫はそう言いながら、瞼を閉じる。 ほのかに染まった頬の中の小さくて柔らかい、唇。 目を閉じて唇を突き出している黒猫の顔。 たぶん俺が今まで見た中で一番可愛いキス顔。 それが俺の視界いっぱいにひろがる。 ちゅ 唇と唇が触れ合う。 黒猫の唇は、柔らかくて、暖かくて、いいにおいがした。 数秒間のキスの後、そのあったかい肌は離れていった。 「黒猫?」 「そう。これは夢。私は兄さんの心の願望から生まれた夢だから」 「だからこんなこともできる」 再びキス。 舌が入り込んでくる。 舌? あれ、これって夢なんじゃ―― そう考える脳も蕩けそうなほどの甘い感覚。 黒猫の舌の感覚が口の中に広がる。 熱い、黒猫の舌。 ざらざらした舌の表面が、俺の口の中を撫でてくる。 とてもサラサラした黒猫の唾液が、俺の口の中に流れ込んでくる。 俺の口の中にたまった二人の唾液を黒猫が吸い。こくんと可愛い音をさせて嚥下する。 「あなたに呪いをかけたわ。きっと貴方は続きをしたくなる……兄さん、……続きはまた今度にしましょう」 そういうと、黒猫はさっとベッドから立ちあがる。 その瞬間、ドアが開き、いつものうるさい声が降ってくる。 「ちょっと! あンたナニしてんのよ!!!」 桐乃がおっかない声で怒鳴ってる。うわ。すっかり目、覚めちまった。 黒猫は顔色ひとつ変えずに桐乃に言い返す。 「…あなたの兄さんを魅了しようとしていただけよ。邪魔が入って未遂に終わったけど」 そんな黒猫の言葉で火がついたのか、桐乃は俺にその矛先を向けてくる。 「このヘンタイ! ナニ黒猫に手ェ出してんのよ!」 いや、手なんて出してない。本当だ。ちょっとだけなんか可愛い夢を見たような気がするがそれも気のせいだ。きっと。 「ほら、何をしているのかしら?早くしないとお祭りは終わってしまうわよ」 そう黒猫が言うと桐乃は何か納得できないような表情をしながら俺に怒鳴る。 「……! ナニ寝てんのよッ! 付き添いがいなきゃ参加できないんだからね! 言ってたじゃん!!」 あ、そうか。ハロウィーンのコスプレ行列は15歳未満の子には保護者がいるんだったっけ。そうだったそうだった。 桐乃が黒猫から借りたゴスロリ衣装に着替えてる間に、黒猫はなんだか異様な視線で俺のことを見つめている。 アレは夢じゃなかったのかな。もしかしたら。でも黒猫がおれにそんなことをするなんてなあ。 そんな俺の表情を見て取ったのか、黒猫は俺の耳元に唇を寄せて囁く。 「夢ではなくってよ」 そう耳元で囁く黒猫。 そして頬に軽く触れるようなキスをしてくる。 そのあとで、軽く上気した頬でかわいらしく俺に言う。 「Trick or…Treat?」 つづかない
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/251.html
http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1288544881/114-121 京介x桐乃 秋葉原ツアー 桐乃が帰国してしばらく経ち、落ち着いた頃 「明日 アキバに行くから」 いつものごとく、言い出した。まあ沙織たちとはこの前あったばかりだが。 秋葉原で会うのは久し振りだし、皆で秋葉原ツアーも楽しいだろう。 「わかった、で何時に待ち合わせだ?」 「へっ?」 「いや、だから沙織や黒猫も来るんだろ?何時に待ち合わせしたんだ」 「あいつらは呼んで無いけど。」 「じゃあ誰と行くんだ。まさかあやせと行くわけじゃないよな」 「はぁ? ばかじゃん。まだアキバにあやせを誘えるわかないじゃん。」 「だよな」 というか "まだ"って あやせもだんだん引きずり込まれているのか? 「行くのは、あんたとあたしだけ」 二人だけ? 何で? 「前に言ったでしょ、留学中に発売されたゲームを買いに行くって。売れ切れてる 店も多いだろうから、たくさん店まわるし あいつらに付き合わせるのは悪いかなって」 おいおい俺には悪くないのかよ。沙織たち居ないんじゃ、こいつと二人で行っても 楽しくないだろ 「それって俺も行かなきゃならんの?」 「当たり前でしょ、あたしが店頭で18禁のエロゲー買えるわけないじゃん」 やっぱエロゲーかよ、妹と二人でエロゲー買いに行くってどんなシチュエーションよ 「キモ あんた今 変な想像したでしょ。あくまでも あんたは買い出しと荷物持ち だかんね。18歳になったし堂々とエロゲー買えるっしょ」 秋葉原に到着して、すでに数件まわって 「おいおい、まだ買うのかよー」 すでに手提げ袋 二つがパンパンんな状態だ。せめてパッケージが小さければ もっと楽なのに 「残り1本どうしても欲しいのがあるの」 「それって、回ったどの店にも無かったぞ」 「もう残ってないのかなぁ」 桐乃が悲しそうな顔をする。おいおいエロゲー見つからないからって落ち込むなよ。 「仕方ねえな、こうなったらシラミつぶしで行くか」 「えっ」 何で驚くんだよ、俺がエロゲー探しに本気になるってのが意外か? 「いったん荷物コインロッカーに預けてから回ろう。そっちの方が早く回れる」 10店以上回った後 「この店ならあるかも」 桐乃が指を差したのは、急な狭苦しい階段だった。この上ってことか 「よしわかった、で何階だ?」 「4階」 桐乃を外に待たせて、俺は一人階段を昇った。 「2階はBLかよ」 ふといやな予感がしたが、気のせいだと思い登り続けた。 4階の店は思いのほか、混雑していて探すのに手間取ってしまったが運よくお目当ての ゲームを見つけられた。 「これでミッションコンプリートだな」 この後に起きる悲劇も知らず、俺はこんなことつぶやいていた。 階段を降りる途中、2階の店から出てくる男と軽くぶつかった。 『あっ すみません』 相手と俺は同時に謝りながら、お互い相手の顔を見て驚いた。 そこにはよく知った顔、そう腐女子の妹を持つ俺の級友 赤城がいた。 『何で、お前が』 またもや、ハモってしまった。 考えれば、聞かなくてもわかるんだが。こいつと俺は秋葉での深夜販売に並んだ仲だし ただし俺はエロゲー、こいつはホモゲーだ。 俺の方がましだな。フッ 何と低レベルの争いだろうか 悲しくなってくるぜ。 「まあ、出てきた店見れば、聞かなくてもわかるか」 「上の階だってエロゲーしかねぇだろ」 「まあそういうことだな」 「そういうことだ」 こいつとは、なぜか言葉が無くても伝わる。境遇が似ているからか 「そろそろ降りようぜ」 赤城が後ろを見ながら急かすので、振り返ると 降りてくる人影が見えた 「そうだな」 階段を降りはじめて思いだした、外に桐乃を待たしていることに このまま降りたらまずい。桐乃は当然エロゲーを買えたか、俺に確認しにくるはず それを聞けば同じ境遇の赤城なら桐乃がエロゲー買ってるのに気づくかもしれない。 桐乃が俺の妹とは、ばれなくても俺の知り合いの女の子がエロゲー買ってるなんてのが 赤城にばれるのは防ぎたい。しかし どうやって・・・ 後ろも詰まってるし、もうすぐ外だ、うまくいくか分からんが 「俺 高坂京介は親友の赤城耕平とこんなとこで偶然出会うなんて超 うれしいぜ」 大声で叫んだ。 「おいおい、高坂 恥ずかしいな 何でかい声で叫んでんだよ」 うるせぇ、こっちだって恥ずかしよ。 気づいてくれよ桐乃 ここに俺の知り合いがいる 話しかけるなよ。 階段を降りると、談笑してる女の子が二人そして 「お兄ちゃん」「あれ、高坂せんぱい」が同時に聞こえた 「はっ!?」 瀬菜が居たことにも驚いたが、何より桐乃の口から"お兄ちゃん"だと・・・ありえねぇ 桐乃も瀬菜が俺を知っていたことに驚いている。何でお前ら談笑してたんだよ。 俺の恥ずかしい叫びも届かなかったようだし、だいたい二人は知り合いだったのか? 状況が全く分からん。どうする? と瀬菜が 「えっ、もしかして雑誌に書いてあった、桐乃ちゃんの大好きなお兄ちゃんって 高坂せんぱいなの?」 雑誌に書いてあった、何それ? こいつなんて事書いてんだよ、俺たちはそんなん じゃねぇだろ そう言えば 以前 桐乃が載ってる雑誌見せてもらった時、妹キャラで載ってたな さっきのお兄ちゃんといい、もしかしてそう言う設定なのか、とにかくここは 話し合わせるしかねえ。 桐乃は動揺して黙ったままだ、ああやっぱり緊急時はダメだなコイツ。 しょうがない。桐乃の隣に立ち、桐乃の肩を抱く。びっくりして桐乃がこっちを 向くが 構わず 「そうだよ、俺達 すごく仲が良いから」 「そうなんですか。仲が良くて、うらやましいな」 いやいや これは演技だから。お前んとこの方がずっと仲が良いだろ 「俺たちだって負けていないだろ」 と いつの間にか、降りてきた赤城が瀬菜の隣に立ち瀬菜の肩を抱こうとすると 瀬菜が軽く肘鉄を赤城に食らわせ 「恥ずかしいから、やめてよね。お兄ちゃん」 フッ バカだな赤城。待てよ・・・俺って今 その恥ずかし事してんのか 桐乃を見ると、耳まで真っ赤にしてうつむいていている。 こいつ無茶苦茶 怒ってんのか? しょうがねぇだろ話の流れでこうなったんだから とりあえず桐乃の耳元で 物を確保できたことをささやく。怒りも少しはおさまるだろう 「本当に仲が良いですね」 ニヤニヤしながら、瀬菜が言ってくる。だから違うって。 「てっきり、高坂せんぱいはお兄ちゃんと・・・と思ってたのに。さっきもなんか 叫んでたし」 「それは、ねぇから」 ああー、一番聞かれたくないやつに聞かれたよ。赤城もそんなこと言われてヘラヘラ してんな、お前の妹だろうが 注意しろよ。 「そうだ、高坂せんぱい、桐乃ちゃん せっかくだからどこかでゆっくりお茶しません」 状況がわからないまま、こいつらといるのは危険だ。 「いや、俺たち用があるから・・・」 「少しくらいいいじゃないですか? 桐乃ちゃんもいいよね。」 桐乃もなんか言えよって、おいおい 顔も赤いし まだこいつ動揺してんのか? すると瀬菜は俺のそばまで来て桐乃に聞こえない様に 「先輩がエロゲー買ってたの桐乃ちゃんにばらしちゃいますよ」 はぁー何言ってんのこいつ。ばらすとかじゃなくて、これは桐乃のだから。 だが、この一言で状況がだいたいわかった どうやら 瀬菜は桐乃が載ってる雑誌を知っていて、偶然店頭で桐乃と出くわした 桐乃は外ヅラいいから、瀬菜に対して雑誌の設定通り兄妹仲の良い可愛い妹を 演じようとしたら相手は俺のよく知る後輩だったと で俺はそんな仲の良い妹をエロゲー買うのに付き合わせる兄貴 これじゃまるで俺 変態じゃねぇかよ だからと言って、この設定をぶち壊すわけにもいかず 「分かった、桐乃には黙っててくれ」 小声で瀬菜に伝える。 「じゃ行きましょう」と瀬菜があるきだす、赤城が後に続く 桐乃には 「バレは防げたと思うけど、しばらくその可愛い妹を演じててくれ」 「わかった」 さすがに肩を抱きながら歩くのは恥ずかしいので、肩から手を離すと なんと桐乃から腕を組んできた。驚いて桐乃を見ると、俺を見て小声で 「演技よ!演技」 こいつも設定な忠実なやつだな。 歩きながら、桐乃が不審そうな顔して小声で聞いてくる 「ねぇ、さっき あの娘に何ささやかれてたの?」 「ああ、エロゲー買ってたの妹にばらすと脅された」 「えっ」 さらにクスクス笑い出した。 機嫌悪くなさそうだな。今のうちに情報交換。桐乃に赤城兄妹の情報伝える 兄シスコン、妹 外ヅラは委員長,実はホモゲー大好き腐女子,黒猫の友達,ゲーム一緒に作った 「うん大丈夫そう。あたしのファンで偶然出会って驚いてた、兄貴の妹なのも知らなかったみたい」 そんなやり取りをしていると振り返った瀬菜から 「ラブラブだねぇ、仲の良い兄妹というより恋人同士みたい」 いつもなら完全否定するところだが、今日は笑ってごますしかない。 桐乃は俺の方にさらに体を寄せて 「はい、大好きなお兄ちゃんだから」 おいおい お前の演技あからさま過ぎるだろ・・・ ファーストフード店に入り4人でテーブルを囲んだ。 瀬菜は桐乃にファッションの話を しはじめた、桐乃も饒舌に語りだす 腐女子系の話始めたらどうしようかと思ったが、そっちの話なら大丈夫だな。 「高坂 お前 妹と喧嘩してるような事言ってたくせに、すごく仲良いじゃねぇか」 そうそう、こいつには桐乃と仲悪かったことばれてるんだよな 「まあ、色々あったのさ」 「そうか 色々あったんだな」 って、これで納得するのか さすがシスコン兄貴 30分ほど談笑して店を出た。 赤城兄妹は まだ買い物の途中だったらしく、まだ店を回るというのでここで別れた。 「ふー、とりあえず ばれなくて良かったぜ。さあ、どうするか。時間まだ早いけど帰るか?」 「買い物は済んだけど、せっかく来たんだから他の店も回りたい」 「ああ、そうだな」 「じゃあ、あの店から」 と言いながら、桐乃は自然に腕を組んできた。おいおい 「赤城兄妹はもういないから、もう演技しなくてもいいんだぞ」 そう言うと、桐乃は少し顔を赤くしながら 「あ、あっちもまだ秋葉にいるみたいだし、出くわすかも知れないじゃん」 その後 桐乃の言われるがままに、いろんな店を連れまわされた。 いつもは四人で回る所をこいつと二人で回って面白いか? とも思ったが。 桐乃が、演技なんだろうけど すごくうれしそうにしているので、なんだか 俺もすごく楽しかった。本当に仲の良い兄妹ならいつもこんな風に楽めるんだろうな。 しかし、周りの視線がいつも以上に厳しかったぜ とある店で桐乃が からかい気分で『お兄ちゃん(ハート)』と言った瞬間、店内にいた全員が 俺達に注目し、その後 俺への突き刺さる視線が痛い事、痛い事 結局 仲の良い兄妹ごっこは地元の駅に着くまで続いた。逆にいえば、仲の良い 兄妹ごっこは地元の駅で終わった。 改札を出たところで桐乃が 「あれ、荷物は?」 「荷物? ゲームとその後に買ったフィギュア以外に何かあったっけ?」 そう言えば何か忘れているような 「最初に買った分」 「あー、コインロッカーに入れて取ってくるの忘れてたー」 「バカー 今すぐ、取ってこい」 いきなり罵倒された、さっきまでの仲の良い兄妹はどこに。 「今からか、明日じゃダメか」 「今すぐ って言ってんでしょ」 俺は一人、秋葉原まで往復するはめになった。門限をオーバーし夕食も抜きだ。 まあしょうがねぇか、俺がコインロッカーに忘れたのが原因だし。 カップ麺も買ってきたし、親父たちが寝静まってからこっそり食おう。 とりあえず、とってきたゲームを渡すため。桐乃の部屋を訪ねた。 桐乃はゲームを受け取ると、俺を部屋に招き入れた。 てっきり罵倒の続きが待っているかと思ったが 「さっきは、ごめんなさい。今日はあたしの買い物に付き合ってくれたのに」 どうしたんだ、こいつは 「いや、忘れたのは俺だし 気にしてねぇよ」 「ほんとに?」 「ああ本当だ、信じろよ」 「よかった」 可愛らしい笑顔にちょっとドキっとしてしまった。 「最後に買ったゲームのインストール終わってるんだけど、一緒にやらない」 カップ麺が食える時間というか親父たちが寝静まる時間までまだあるな 「じゃあ、少しだけな」 桐乃はうれしそうにゲームをスタートさせた。そして桐乃が 「次も、一緒に行こうね」 ゲームの効果音と重なってよく聞き取れなかったが、たぶんそう言ったと思う 桐乃が顔を赤らめて、こっちをわざと見ない様にしているのを見ると 聞き返すのは野暮だと思い 「ああ、一緒にな」 と答えておいた 翌日、部室に顔を出すと黒猫が 「先輩 昨日はずいぶんとお楽しみだったようね。」 「なんだよ、それ。まるで俺がいかがわしいことしてたみたいじゃねぇか」 「先輩が妹とずいぶんと仲良さそうに秋葉原めぐりしていたようだけど。」 「瀬菜に聞いたのか。あれは桐乃の読者モデル用の演技に付き合っただけで・・・」 「二人だけで秋葉原に」 「回る店が多くて、お前らに迷惑かなって・・・」 「仲良く腕まで組んで」 演技だと反論しようと思ったが、その後の二人だけの時も組んでたんだよな。 「まあいいわ。じゃあ、私のお願いも聞いてくれるかしら。コスプレの材料を 買いに行くのだけどちょっと荷物が多くなりそうなの、買い物に付き合って くれるわよね、先輩」 「お、おう もちろんだ」 -----終わり-----
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/65.html
660 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2010/12/18(土) 21 24 05 ID TnqA3oFz0 [2/4] コンコン 「どうぞ」 「よっ、準備できたんだって?・・・よく似合ってるじゃねぇか」 「あたりまえじゃん、あたしを誰だと思ってんの?そういうアンタは・・・ま、まあまあじゃん」 「おいおい、こういう時ぐらいカッコいいとか言えねぇのかよ・・・」 「キモッ!自分でカッコいいとか何言っちゃってるのこいつ!? あんたナルシストっぽいところあると思ってたけど、そういうところ直したほうがいいよ? …なんてね、冗談だって。カッコいいじゃん『兄貴』」 「こんなときでも相変わらず口がへらねえのな、お前も。というか何だよ、今更『兄貴』なんて」 「ん~・・・ちょっと昔のこと思い出しちゃってさ。そのせいかな」 「昔のことねえ。・・・そういえばお前にミスター・シスドーだのなんだの言われて色々言わされたこともあったか」 「うっ・・・」 「おっ、まさか図星か?たしか『そんな道理ッ!私の無理でこじ開ける!!』だったか。 今更シスコンだとかそういうのは否定するつもりもねえけどよ、今思えばあれは今まさにこの状況を望んでたってことだったのか?」 「・・・あんたが悪いんじゃん。何をしてもあたしの気持ちに気付きもしないし。 あのころのあたしがドンだけ苦労してたかわかんないでしょ?」 「うぐ・・・ま、まあいいじゃねぇか。今お互いこうしていられるんだからよ」 「結果論じゃん・・・色々あったよね、あたしたち」 「そうだな。・・・後悔してるのか?」 「してるわけないじゃん。これはあたしが望んだこと。それを後悔なんてするわけない」 「・・・」 「ただ、この場に『あいつら』がいないのがちょっと・・・ううん、すごく残念、かな」 「駆け落ち同然に家を飛び出して、色んなところを転々としてきたからな。 今頃なにやってるんだろうな、あいつら。案外昔とほとんど変わってなかったりしてな」 「あははっ、流石にそれはないでしょっ」 コンコン 「はい、どうぞ」 「お邪魔しますね。おお、お二人ともよくお似合いですよ」 「ありがとうございます、神父さん」 「いえいえ。準備が出来たのでお呼びにきたんですよ」 「そうですか、わかりました。んじゃ、行くか。桐乃」 「うん、兄貴」 「それまだ続けるのか?」 「いいじゃん、なんかそういう気分なの!」 「へいへい」 「こんな辺鄙な教会で式を挙げてくださるというので、こちらも張り切って準備したんですよ」 「それは、なにかすいません。気を使わせてしまったみたいで」 「お気になさらないでください。…こちらです。この扉の向こう。きっとお二人ともびっくりなされますよ」 「え?それってどういう・・・」 「それでは、どうぞ」 「「え?」」 661 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2010/12/18(土) 21 25 30 ID TnqA3oFz0 [3/4] 「よう!久しぶりだな高坂!こんなめでたい席に呼びもしないなんて友達がいのないやつだな!」 「そうですよ先輩!ちょっとぐらい声かけてくれたっていいじゃないですか!お久しぶり、桐乃ちゃん!」 「あ、赤城!?」 「せ、せなちー!?な、なんでここにいるの!?」 「私たちもいるよ、きょうちゃん」 「へへへ、かなかなカッコいいじゃんか!あんちゃん!」 「麻奈実、ロックも・・・」 「桐乃、久しぶり・・・」 「なんだ、結構元気そうじゃんか。そっちの変態兄貴も♪」 「あやせ、かなこ・・・」 「なんでみんなここに・・・」 「拙者がよんだんでござるよ」 「沙織!」 「お久しぶりでござるな。きりりん氏、京介殿」 「お前、なんで・・・」 「何でとはまたつれないでござるな京介殿。拙者とお二方の仲ではござらんか」 「そうじゃなくて!何であたしたちがここにいるって・・・それに式のことも」 「それは、そこにいる神父殿でござるが・・・実は拙者のおじい様であるからして」 「「ええええええ!!?」」 「というのは嘘で、実はそちらの方はお父様のお知り合いでして。その関係でこちらに情報が流れてきたでござるよ」 「沙織さんがあなた方を探しているというのは私も聞き及んでいましたので。勝手ながら連絡させてもらいました」 「そ、そうだったんだ・・・もう、あんまりびっくりさせないでよね!・・・でも安心した。沙織、あんた何にもかわらないわね」 「だよな。しかし沙織よ、そのドレスにぐりぐりめがねはどうかと思うぞ・・・」 「はっはっは!そう褒めないで下され、照れるではござらんか。作戦成功でござるな。 では失礼して・・・そうそう、お二人にはまだ会っていただきたい人がいるんですよ」 「え・・・」 「まさか・・・」 「久しぶりね、二人とも。相変わらず兄妹そろっての間抜け顔で安心したわ」 「・・・」 「桐乃、京介、心配してたのよ」 「あんた・・・」 「親父、母さん」 「京介」 「・・・なんだよ、親父」 「もう私はしのごのいうつもりはない。お前達の覚悟も、決意もよくわかっているつもりだ」 「親父・・・」 「だがこれだけは覚えておけ。もし桐乃を泣かせるようなことがあれば、今度こそお前を許すつもりはない・・・わかったな」 「そうよ、京介。そんなことしたら、もう家の敷居またがせないからね。覚えておきなさい」 「ああ、わかったよ。親父、母さん。絶対に桐乃を泣かせるようなことはしない。約束する」 「それさえ聞ければもう私は言うことはない。・・・京介」 「なんだよ?」 「・・・すまなかった」 「!・・・ああ」 「ほら、あなた。席につきましょ」 「うむ」 662 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2010/12/18(土) 21 26 18 ID TnqA3oFz0 [4/4] 「黒猫・・・」 「・・・」 「あたし、アンタになんて言っていいか・・・」 「・・・ふう、やっぱりあの時のことを、いまだに気にしてたのね。あきれたわ」 「そんなことって・・・!あたしは!ずっと、アンタに謝りたくて!でも、どういえばいいか、わかんなくて・・・」 「謝られることなんてあったかしら?彼は私ではなくあなたを選んだ。ただそれだけのことでしょう?」 「でも!」 「もう、しつこいわね。私がいいと言っているのだからそう受け取りなさい。・・・そうね、そんなに私に悪いと思っているのなら・・・」 「な、なによ・・・」 「せいぜい幸せにおなりなさい?私が、私たちがあなたたちをやっかむほどにね。 私はあなたが嫌いだけれども、あなたたちが幸せならそれでいいわ。だって私達は・・・と、友達でしょう?」 「!!・・・~~~っ!」 「きゃっ!・・・いきなり抱きつかないでくれるかしら?ああ、もう、涙をおふきなさい」 「だって、だって・・・!」 「ふう、・・・高坂桐乃」 「・・・なに?」 「あなたには、私の真名を呼ぶことを許すわ。これからは私のことは瑠璃と呼びなさい」 「! くろ・・・瑠璃、ありがとう。それとごめんね。あたし、あんたのこと・・・大好きだから!」 「!・・・そう」 「よう、久しぶりだな、黒猫」 「そうね、誰かさんに見限られて以来かしら?」 「むぐ、相変わらずキッツいっすね黒猫さん。そういわれてもしかたないんだけどね!?」 「ふふ。、さて、そろそろこの子を離してもらっていいかしら?いつまでも抱きつかれていたらたまらないわ」 「・・・そうか。ほら、桐乃離れろって。あ~あ~こんなに泣いちまって。ほら、これで涙拭けよ」 「ぐすっ、・・・うん、ありがと」 「じゃあそろそろ席に着くわ。失敗して恥をかかないようにね?『兄さん』?」 「余計なお世話だよ!?」 「みんなかわらねえな。なんか安心しちまったぜ」 「そうだね。・・・ねぇ兄貴」 「なんだよ」 「絶対にこの手はなしたら嫌だかんね?離したら一生恨んでうやるから!」 「離すつもりなんてはなからねーよ。それこそお前が嫌だっつってもな!・・・桐乃、今幸せか?」 「当たり前じゃん!兄貴が隣にいて、みんなが祝福してくれるんだよ?あたしちょー幸せだよ」 「そっか。そうだよな・・・」 「・・・?どうしたの兄貴」 「いや、控え室いるときにお前が昔のこと思い出してたっていってただろ?」 「うん」 「俺もちょっと思ったんだよ。もし昔の、お前に人生相談受ける前の俺が今のお前を見たらなんて言うかって。 でも考える必要もなかったわ」 「ふ~ん、なんで?」 「あのころの俺がなんて言うかなんて分かりきってるってこった。そう、あのころの俺はきっとこう言うんだろうさ・・・」 俺の妹がこんなに可愛いわけがない 134 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2010/12/16(木) 21 35 46 ID 1cioRF78O